最終更新日:2026年02月25日

「ホワイトな運送会社に転職したい」でも口コミだけでは不安。本記事は一次情報で、残業上限・改善基準告示・拘束時間調査・賃金相場を根拠に"ホワイト度"を点数化する方法と、比較表/質問テンプレを示します。
運送会社への転職を考えるとき、「ホワイト企業ランキング」を検索したくなるのは自然なことです。ただ、ネット上にあるランキングの多くは口コミサイトや企業の自己申告がベースになっており、客観的な基準で比較するのは難しいのが現状です。
そこで本記事では、厚生労働省や国土交通省が公表している一次情報をもとに、運送会社の「ホワイト度」を自分で評価できる方法を紹介します。具体的には、時間外労働の上限規制、改善基準告示、賃金構造基本統計、拘束時間に関する実態調査といった公的データを使って、応募先企業を点数化し、比較する手順を解説します。
ランキング形式で上位10社を紹介するのではなく、あなた自身が候補企業を評価できる「評価軸」と「比較表のテンプレート」、さらに面接で使える質問リストまでをセットで提供します。これにより、求人票の数字や面接での回答を客観的に判断し、本当にホワイトな職場を見抜く力が身につきます。
最後には、『GOジョブ』を活用して条件を整理し、スムーズに応募する流れもご案内します。全国対応で、図解を交えながらわかりやすく説明していきますので、ぜひ最後までお読みください。
運送業界で「ホワイト企業」を見極めるには、感覚的な判断ではなく、法令や統計データに基づいた評価軸が必要です。ここでは、厚生労働省の時間外労働上限規制、改善基準告示、賃金構造基本統計調査、国土交通省の拘束時間調査などを参考に、10項目の評価軸を設定し、それぞれに配点を割り当てる方法を提案します。
この評価軸を使えば、求人票や面接での回答を点数化し、複数の会社を客観的に比較することができます。口コミサイトの主観的な評価に頼るのではなく、公的な基準で「ホワイト度」を測る仕組みを作りましょう。
以下の表は、運送会社のホワイト度を評価するための10項目と、それぞれの配点目安を示したものです。法令遵守、賃金水準、実態調査の3つの観点からバランスよく項目を選びました。

注: 配点の合計100点
この表を使って、候補企業ごとに点数をつけていきます。たとえば、求人票に「年間残業時間800時間以内」と明記されていれば評価軸1で満点の15点、記載がなければ0点といった具合です。
配点の根拠を簡単に説明します。法令遵守に関わる項目(評価軸1〜3)は合計40点と高めに設定しました。これは、労働時間や休息時間の基準を守らない企業では、いくら賃金が高くても長く働き続けることが難しいためです。
賃金に関する項目(評価軸4〜6)は合計35点としました。所定内給与だけでなく、賞与や手当、固定残業代の透明性も評価対象に含めることで、実際の手取り額をより正確に比較できるようにしています。
実態調査に基づく項目(評価軸7〜8)は合計20点です。法令上の基準をクリアしていても、実際の運行では荷待ち時間が長く拘束時間が延びるケースがあります。国土交通省の調査データを参照することで、業界平均との比較が可能になります。
残りの5点は、休日日数と社会保険完備という基本的な条件に割り当てました。これらは最低限クリアすべき項目であり、満たしていない場合は他の点数が高くても注意が必要です。
運送業界で働く際に知っておくべき重要な法令として、時間外労働の上限規制と改善基準告示があります。この2つは似ているようで役割が異なるため、正確に理解しておくことが大切です。
時間外労働の上限規制は、労働基準法に基づくもので、2024年4月から運送業にも適用されています(※1)。この規制では、時間外労働は原則として月45時間・年360時間以内とされていますが、運送業には特例があり、年間960時間までの時間外労働が認められています。ただし、月100時間未満、2〜6カ月平均で月80時間以内という上限も守らなければなりません。
一方、改善基準告示は、トラック運転者の労働時間や休息期間について、より具体的な基準を定めたものです(※2)。この告示では、1日の拘束時間は原則13時間以内(最大15時間)、1カ月の拘束時間は原則293時間以内とされています。また、休息期間は継続11時間以上を基本とし、1日の運転時間は2日平均で9時間以内という基準も設けられています。
つまり、時間外労働の上限規制が「残業時間」に焦点を当てているのに対し、改善基準告示は「拘束時間(始業から終業までの時間)」や「休息時間」まで含めて規制しています。ホワイト企業を見極めるには、この両方の基準を満たしているかを確認する必要があります。
求人票を見るときは、「残業時間は年900時間以内」と書かれていても、拘束時間や休息時間の記載がない場合は要注意です。面接では、「1日の平均的な拘束時間はどれくらいですか」「休息時間は何時間確保されていますか」と具体的に質問することをおすすめします。
運送会社のホワイト度を評価するには、時間外労働の上限規制(※1)と改善基準告示(※2)という2つの法令を理解し、それぞれの基準を満たしているかを確認することが重要です。
10項目の評価軸を使って候補企業を点数化すれば、客観的な比較が可能になります。次の章では、賃金統計をもとに実際の求人票と比較する方法を見ていきましょう。
【参考URL】 ※1 出典:厚生労働省「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/gyosyu/topics/01.html ※2 出典:厚生労働省「改善基準告示(自動車運転者の労働時間等の改善のための基準)」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/gyosyu/roudoujouken05/index.html
評価軸を使った点数化と並行して、賃金面でも客観的な比較を行うことが重要です。ここでは、総務省統計局が運営する政府統計ポータルサイト「e-Stat(イースタット)」で公開されている賃金構造基本統計調査を使い、運送業の賃金相場を把握する方法を解説します。
賃金構造基本統計調査は、毎年6月分の賃金について全国の事業所を対象に調査したもので、職種別・年齢別・経験年数別の平均賃金が細かく集計されています(※3)。この統計を参照すれば、求人票に記載された給与額が業界平均と比べて妥当かどうかを判断できます。
特に注意したいのは、固定残業代(みなし残業代)が含まれているかどうかです。求人票に「月給30万円」と書かれていても、そのうち5万円が固定残業代で、所定内給与は25万円という場合があります。統計データと比較する際は、所定内給与額(基本給+諸手当)と固定残業代を分けて考える必要があります。
以下の表は、賃金構造基本統計調査(2024年)の表7「職種別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額」から、営業用大型貨物自動車運転者のデータを抜粋し、架空の求人A・B・Cと並べて比較したものです。

注: 統計平均は賃金構造基本統計調査(2024年)表7より。求人A・B・Cは架空の事例です。固定残業代の時間数と金額は求人票に明記されている想定で記載しています。
この表からわかるのは、求人票に記載された「月給」だけを見ても、実際の待遇は比較できないということです。求人Bは月給38.5万円と高く見えますが、所定内給与額は33.0万円で、残り5.5万円は固定残業代です。一方、求人Cは月給30.0万円と低く見えますが、そのうち8.0万円が固定残業代なので、所定内給与額はわずか22.0万円です。
所定内給与額が低いと、賞与や退職金の計算にも影響します。多くの企業では、賞与は基本給の何カ月分という形で計算されるため、固定残業代が大きい求人ほど、年収ベースで見ると不利になる可能性があります。
また、年間賞与額も重要な比較ポイントです。統計平均では年間48.3万円が支給されていますが、求人Cでは20.0万円と大きく下回っています。賞与がない、または少ない企業では、月給が高く見えても年収では平均以下になることがあります。
賃金構造基本統計調査は、年齢別・経験年数別のデータも公表されているので、自分の年齢や経験に近い層の平均と比較することもできます。たとえば、30〜34歳で経験年数5〜9年のドライバーであれば、その層の平均賃金と求人票を比べることで、より正確な判断が可能になります。
賃金統計(※3)を使えば、求人票の数字が業界相場と比べて妥当かどうかを客観的に判断できます。所定内給与額と固定残業代を分けて比較し、賞与額も含めた年収ベースで評価することが大切です。
この情報は、面接での給与交渉や内定後の条件確認の場面でも役立ちます。次の章では、拘束時間を減らす取り組みをしている会社を見抜く方法と、面接で使える質問テンプレートを紹介します。
【参考URL】 ※3 出典:e-Stat「賃金構造基本統計調査(2024年)表7」 https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?stat_infid=000040247860
法令上の基準をクリアしていても、実際の運行では荷待ち時間や渋滞などの影響で拘束時間が長くなることがあります。ホワイト企業を見極めるには、こうした実態面での取り組みを確認することが欠かせません。
国土交通省が公表している「トラック運送業の長時間労働改善に向けたフォローアップ調査」では、トラック運転者の平均拘束時間は1日あたり11時間46分とされています(※4)。この数字を基準に、候補企業がどのような対策を講じているかを面接で質問することが重要です。
ここでは、国交省調査のデータをもとに、面接で使える質問テンプレートを紹介します。さらに、評価軸と質問表を活用して応募先を絞り込み、『GOジョブ』で条件を整理して応募する流れを図解します。
以下の表は、国土交通省の調査結果を参考に、拘束時間削減に関連する項目と、それぞれに対応する面接質問をまとめたものです。

これらの質問を面接で投げかけることで、企業が労働環境改善に本気で取り組んでいるかを見極めることができます。特に重要なのは、「削減策はありますか」「定期的に見直されていますか」といった、具体的な取り組み内容を引き出す質問です。
曖昧な回答しか返ってこない場合や、「そういうデータは把握していない」と言われた場合は、労働時間管理が不十分な可能性があります。逆に、「デジタルタコグラフで拘束時間をリアルタイムで把握し、月1回のミーティングでルート見直しをしています」といった具体的な回答があれば、信頼できる企業と判断できます。
国交省の調査では、荷待ち時間が発生する主な原因として、荷主側の都合による時間指定や、倉庫の混雑が挙げられています。こうした外部要因に対して、企業がどのように対応しているかが、ホワイト度を左右するポイントです。
面接では、「荷主との関係で拘束時間が延びることはありますか」「その場合、会社としてどのようなフォローをしていますか」と質問し、具体的な対策を聞き出しましょう。たとえば、荷主と定期的に協議の場を設けている、待機時間が発生した場合は別途手当を支給している、といった回答があれば、労働環境への配慮が感じられます。
拘束時間を減らす取り組みをしている会社を見抜くには、国交省の調査データ(※4)を参考に、面接で具体的な質問をすることが重要です。評価軸(※1)と賃金統計(※3)を使って候補を絞り込み、面接で実態を確認したうえで、『GOジョブ』を活用して応募する流れを取り入れることで、客観的な基準に基づいた転職活動が可能になります。
運送会社のホワイト企業を見極めるには、法令の理解、統計データの活用、そして面接での具体的な質問が欠かせません。この記事で紹介した方法を実践し、納得のいく転職先を見つけてください。『GOジョブ』では、全国の運送会社の求人情報を扱っており、無料で相談・応募ができます。ぜひご活用ください。
【参考URL】 ※4 出典:国土交通省「トラック運送業の長時間労働改善に向けたフォローアップ調査(2024年12月25日)」 https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/001854525.pdf