最終更新日:2026年05月25日


「未経験からバス運転手になりたいけれど、大型二種免許がなくても応募できるのか」「年齢的にもう遅いのではないか」「収入や働き方は実際どうなのか」のような不安から一歩を踏み出せない方は少なくありません。結論からお伝えすると、未経験からバス運転手を目指すことは現在十分に現実的な選択肢です。バス業界は深刻な人材不足を背景に、入社後に会社負担で大型二種免許を取得できる養成制度や、未経験者向けの研修体制を整える企業が増えています。
本記事では、必要な資格、年齢・経歴の条件、費用、収入、働き方の実態を、警察庁・厚生労働省・国土交通省などの一次情報をもとに整理し、未経験者が抱える不安を一つずつ解消していきます。
「自分のような未経験者でも応募できる会社があるのだろうか」
まずはここに正面から答えます。結論として、未経験からバス運転手を目指すことは、現在の業界環境では十分に現実的な選択肢です。背景にあるのは、業界全体で進行する人材不足と、それに対応するための採用門戸の広がりです。
公益社団法人日本バス協会が国土交通省の審議会に提出した資料(令和5年10月)によると、バス運転者数は2021年の約11万6千人から2030年に約9万3千人まで減少すると見込まれており、2022年の輸送規模を維持するために必要な人員と比較すると、約3万6千人(必要人員の約28%)が不足すると試算されています(※1)。背景には運転者の高齢化、若年層の入職減少、2024年4月から本格適用された時間外労働の上限規制(いわゆる2024年問題)の影響などが重なっています。
国土交通省は「バスの運転者の確保及び育成に向けた検討会」を設置し、要員不足を喫緊の政策課題として位置づけて対策を検討してきました(※2)。バス運転手の人材確保は、業界レベルではなく国レベルで取り組まれている課題なのです。
人材不足が深刻なほど、業界は採用の門戸を広げざるを得ません。実際に、公的事業者である東京都交通局は2015年度から「都営バス運転手養成枠採用」を開始し、応募時点で大型自動車第二種運転免許や大型車両の運転経験がない人でも応募できる仕組みを設けています(※3)。民間バス会社でも、普通免許のみで応募でき、入社後に会社負担で大型二種免許を取得できる「養成制度」を採用に組み込む企業が広がっています。
「未経験だから応募できる会社が少ないのでは」という不安は、現在の採用環境においては実態と異なります。むしろ業界は、未経験者が入りやすい仕組みづくりを続けています。
「長時間労働で休みが取れない」というイメージを持つ方も多いですが、法改正によって状況は変化しつつあります。厚生労働省告示の「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(改善基準告示)」が改正され、2024年4月から拘束時間・休息期間・運転時間の規制が厳格化されました(※4)。バス運転者については1日の拘束時間の原則が13時間以内、勤務間の休息期間は継続11時間を基本とし最低でも9時間以上とすることなどが定められています。
法改正によって長時間労働を前提とした働き方は是正される方向にあり、業界全体で労働環境の見直しが進んでいます。
バス業界は2030年に約3.6万人の運転手不足が試算されるほど人材確保が課題で、未経験者の採用門戸は広がっています。法改正により働き方も改善方向に向かっており、「きつい・休みが取れない」のイメージは過去のものになりつつあります。次の章では、未経験者が最初にぶつかる「大型二種免許」の取得条件と、近年の法改正でハードルがどう下がったかを見ていきます。
未経験者が最初に気にするのが「大型二種免許」の壁です。「年齢制限・運転経歴の条件があると聞いて、自分には無理かもしれない」と感じている方も多いはずです。ここでは警察庁・警視庁の一次情報に基づいて、現在の取得条件を正確に整理します。
道路交通法では、旅客を運送する目的でバスを運転するには、車両の種類に応じた第二種免許が必要と定められています。一般的な路線バス・高速バス・観光バスで用いられる大型自動車に該当する車両を、旅客自動車運送事業として運転するには、大型自動車第二種運転免許が必要です。
なお、必要な免許は「運賃を直接徴収するかどうか」だけで決まるわけではなく、その運行が旅客自動車運送事業に該当するか、また車両区分が大型・中型・普通のどれかによって変わります。応募する求人ごとに必要免許を確認することが大切です。
警視庁の公開情報によると、大型二種免許の受験資格は次のとおりです(※5)。
普通免許を取得して3年以上経過しており、視力などの身体要件を満たしていれば、年齢・経歴上は受験可能です。
「自分はまだ普通免許を取って3年経っていない」「20歳でバス運転手を目指したい」という方も諦める必要はありません。2022年(令和4年)5月13日施行の改正道路交通法により、警察庁が定める「受験資格特例教習」を修了した場合、年齢19歳以上・普通免許等の運転経歴1年以上で大型二種免許を受験できる特例が設けられています(※6)。
特例教習には次の3つの課程があります(※6)。
ご自身の状況に応じて必要な課程が変わるため、教習所や運転免許試験場で確認するとスムーズです。
未経験者が大型二種免許を取得するルートは、大きく次の2つです(※7)。
大型二種免許の取得ルートは、指定自動車教習所を経る方法と試験場で直接受験する方法の大きく2つです。教習所には通学・合宿・通学合宿の選択肢があり、現有免許や生活スタイルに応じて選べます。
大型二種免許は営業バスを運転するために必須の資格で、原則「21歳以上・運転経歴3年以上」の受験要件があります。ただし、2022年5月施行の受験資格特例教習を活用すれば「19歳以上・運転経歴1年以上」まで条件が引き下げられます。条件の壁は、以前よりも確実に低くなっています。次の章では、もうひとつの大きな関門である「免許取得費用」を、会社負担で解決できる仕組みを解説します。
「資格は分かったけれど、免許取得に数十万円もかかると聞いた」「自己負担で払うのは厳しい」
この費用面の不安が、未経験者が一歩を踏み出せない大きな理由のひとつです。しかし結論として、多くのバス会社が用意している「養成制度」を活用すれば、自己負担を大きく抑えて免許を取得できる可能性があります。
養成制度(大型二種免許取得支援制度)は、大型二種免許を持っていない人をバス会社が採用し、入社後に会社が費用を負担して大型二種免許を取得させる仕組みです。応募時点では普通免許のみでも、養成制度のある会社であれば応募できます。
具体的な仕組みは会社により異なりますが、代表的なパターンは次のとおりです。
「養成制度は中小のバス会社だけ?」と疑問を持つ方もいるかもしれませんが、公的事業者でも、たとえば東京都交通局では養成枠採用が実施されています。たとえば東京都交通局は「都営バス運転手養成枠採用」を実施しており、応募時点で大型二種免許や大型車両の運転経験がない人でも応募できる枠を設けています。二次選考合格後に会計年度任用職員として採用し、指定する日までに交通局の負担で大型二種免許を取得する仕組みです(※3)。
民間でも大手バス会社が同様の制度を整えており、「普通第一種免許取得後3年以上経過していれば応募可」「養成制度を利用した場合は最低◯年勤務」など、条件を明示して募集しています(※8)。
求人ごとに養成制度の中身は異なります。費用の自己負担を最小化し、入社後の働きやすさを確保するためには、次のような点を比較することが大切です。
これらの条件を一人で求人サイトから読み解くのは大変です。ドライバー職に詳しいキャリアアドバイザーがいる転職支援サービスに相談すると、養成制度の中身を比較した上で自分に合う求人を紹介してもらえます。『GOジョブ』では、普通免許のみでも応募でき、入社後に会社負担で二種免許を取得できる制度が充実している企業の求人を保有しています。
養成制度は、未経験者の費用面の不安を大きく和らげる仕組みです。会社負担で大型二種免許を取得でき、教習期間中の給与支給や入社祝金などのサポートを併設する会社も増えています。費用の壁は、養成制度のある会社を選ぶことで現実的に越えられる可能性があります。次の章では、もうひとつの不安「年齢の壁」について、業界の年齢構成と中高年採用の実態を見ていきます。
「30代後半でも採用される?」「40代・50代の自分でも未経験から始められる?」――年齢面の不安も、未経験者の典型的な悩みです。ここでは、バス業界の年齢構成と中高年採用の実態を一次情報をもとに整理します。
国土交通省の資料によると、バス運転者は他産業と比較して平均年齢が高い職種です。2014年(平成26年)公表の国交省資料では、平成24年時点でバス運転者の約6人に1人が60歳以上という年齢構成が示されており、業界全体での高齢化が指摘されてきました(※9)。
その後も若年層の入職減少が続いており、業界は中高年層の採用に積極的にならざるを得ない状況にあります。30代・40代・50代から未経験で挑戦することは、業界の年齢構成から見ても現実的な選択肢の一つといえます。
厚生労働省「一般職業紹介状況」(職業安定業務統計)によると、自動車運転従事者の有効求人倍率は高い水準で推移しています。2024年(令和6年)1月時点での自動車運転従事者の有効求人倍率は約2.72倍、職業計の有効求人倍率は約1.21倍であり、運転職は職業計の倍以上の人手不足状態にあると報告されています(※10)。
求人倍率が高いということは、企業側が応募者を選り好みできる状況ではないということです。年齢・経歴を理由に最初から落とされるリスクは、他業界と比較して相対的に小さい傾向にあるといえます。
会社ごとに応募できる年齢上限は異なり、50歳前後・55歳・60歳など幅があります。法律上の年齢制限ではなく、各社が自社の事情(定年年齢・養成制度の投資回収など)に応じて設定しているのが実情です。
民間バス会社の採用ページを見ると、「21歳以上50歳未満」など具体的な上限を示している求人もあれば、年齢上限を設けず幅広く募集している求人もあります(※8)。前職の業界も問わず、営業職・接客業・他業種ドライバー・全くの異業種からの転職事例が業界各社の採用情報で公開されています。
「自分の年齢で応募できる求人があるか不安」という方は、求人サイトで年齢条件を一件ずつ確認するよりも、ドライバー職に詳しいキャリアアドバイザーに相談したほうが効率的です。アドバイザーは年齢・希望勤務地・希望勤務形態などの条件をヒアリングしたうえで、応募可能な会社を絞り込んで紹介してくれます。
『GOジョブ』では、ドライバー特化のキャリアアドバイザーが希望条件を相談しながら、自分に合った会社を紹介する仕組みが整っています。
バス業界は他産業より平均年齢が高く、運転職全体の有効求人倍率も職業計の倍以上で推移しています。30代・40代・50代から未経験で挑戦することは、業界の年齢構成からも採用環境からも現実的な選択肢の一つです。次の章では、もうひとつ重要な関心事である「収入」を、最新の賃金統計で詳しく見ていきます。
「未経験スタートで収入が下がるのは避けたい」――収入面の不安は転職の大きな判断軸です。ここでは厚生労働省の最新統計と国交省データから、バス運転者の収入実態を整理します。
厚生労働省「賃金構造基本統計調査」は、5人以上の常用労働者を雇用する民営事業所などを対象とした基幹統計調査で、職種別の賃金実態を把握できる代表的な公的統計です(※11)。営業用バス運転者の賃金もこの統計で毎年把握されています。
実際の収入は、勤務する地域や企業規模、運転するバスの種類(路線・観光・高速・送迎)、勤続年数、勤務形態によって幅があります。求人を比較する際は、地域・企業規模・担当バス種別を踏まえて検討することが大切です。
国土交通省が公表した「自動車運送業・整備業における労働条件改善のための取組」(賃金構造基本統計調査令和4年・令和5年比較)によると、バス運転者の年間給与額は令和4年の約399万円から令和5年の約453万円へと、約14%増加しています(※12)。これはコロナ禍で観光バスや路線運行が縮小した影響で一時的に下がった年収が、観光需要の回復や処遇改善の動きを背景に上昇に転じたことを示しています。
国交省の同資料では、バス・タクシー運転手の令和5年の年間給与額の伸び率は全産業平均を大幅に超えていると指摘されています(※12)。「収入が下がるのでは」という不安は、データの裏付けがある形で軽減できる可能性があります。
バス運転者の年収は地域差が大きい職種です。都市部のほうが高めに、地方は物価水準を反映して低めに出る傾向があります。また、運転するバスの種類によっても勤務形態と給与体系が異なります。
求人を比較する際は、年収の額面だけでなく「どのバスを担当するのか」「シフトと休日体制はどうか」までセットで確認することが大切です。
未経験スタートの場合、最初の数か月は研修期間や慣らし期間となり、フルに稼働できないことから収入が一時的に低くなる懸念があります。この点については、入社後一定期間の給与を保障する制度を設けている企業が存在します。
『GOジョブ』では、転職直後の不安を解消するため、入社後3ヶ月〜1年間、月給30万円〜を保障する企業の求人を保有しています。給与保障のある会社を選ぶことで、未経験スタートの収入面の不安を緩和できます。
バス運転者の年収は令和4年から令和5年にかけて全産業平均を超える伸び率で増加しており、回復傾向にあります。地域差や担当するバスの種類による違いはありますが、給与保障制度のある会社を選べば、未経験スタートでも収入面の不安は緩和できます。次の章では、もうひとつの大きな関心事である「労働時間と休日」を、改正改善基準告示の内容とともに見ていきます。
「拘束時間が長い」「休みが取りにくい」というイメージから、応募をためらう方も少なくありません。この章では、2024年4月に適用された改正改善基準告示の内容と、業界の働き方の変化を一次情報で整理します。
改善基準告示は、自動車運転者の労働時間等を改善するための基準として厚生労働省が定めた告示です。一般労働者向けの労働基準法に加え、バス・トラック・タクシーなどの自動車運転者には独自の労働時間ルールが上乗せで適用されます。2024年4月から改正版が適用され、規制内容が一段と厳格化されました(※4)。
厚生労働省が公開している学習テキスト「バス運転者 労働時間等の改善のための基準 令和6年4月 改正改善基準告示版」によると、バス運転者には次のような基準が定められています(※13)。
これらは厚生労働省告示として定められた基準であり、会社が遵守すべきルールです。「労働時間が際限なく長くなる」という以前のイメージとは状況が変わってきています。
同じ「バス運転手」でも、担当するバスの種類によって勤務形態は大きく異なります。
「土日休みが希望」「夜勤は避けたい」「家族との時間を確保したい」といった希望に応じて、選ぶべきバスの種類は変わってきます。
人材確保のために、近年は柔軟なシフトや手厚い休日体制を打ち出すバス会社が増えています。完全週休2日制、年間休日◯日保証、昼間のみ勤務、土日休みなど、ライフスタイルに合わせて選べる求人が広がっています。
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2024年4月から適用された改正改善基準告示によって、バス運転者の拘束時間・休息期間・運転時間は告示レベルで厳格化されました。担当するバスの種類によって勤務形態は大きく異なり、柔軟シフトや完全週休2日制を打ち出す企業も増えています。「働き方が固定的で家庭と両立できない」という不安は、求人の選び方次第で十分に解消できる可能性があります。次の章では、自分に合うバス会社を選ぶ際の具体的なチェックポイントを整理します。
ここまでで、資格・費用・年齢・収入・働き方の不安を順に解消してきました。では実際に求人を比較するとき、どこを見れば自分に合う会社を選べるのでしょうか。ここでは未経験者向けに5つの判断軸を整理します。
普通免許のみで応募する場合、養成制度の中身が転職後の生活を大きく左右します。次のような点をチェックしましょう。
未経験スタートでは、最初の数か月の収入が最大の不安要素です。基本給・各種手当・賞与の有無に加え、入社後の一定期間に最低保障給を設定している会社かどうかを確認すると安心です。
『GOジョブ』では、入社後3ヶ月〜1年間、月給30万円〜を保障する企業の求人を保有しています。
担当するバスの種類によって勤務形態は変わります。次の点を比較しましょう。
未経験者にとって、入社後の研修の手厚さは早期離職を防ぐ大切な要素です。
ここまで挙げた4つの軸を、求人票だけで一社ずつ比較するのは現実的に大きな負担です。求人票の文言だけでは、養成制度の運用実態や職場の雰囲気までは見えません。
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未経験者がバス会社を選ぶときは、養成制度・給与水準と保障・勤務形態と休日・研修体制の4軸で比較し、最後はドライバー特化のアドバイザーに相談するのが効率的です。自分一人で完結させようとせず、専門家の力を借りることで、応募・面接・入社までの不安を大きく減らせます。最終章では、この記事のポイントを整理し、次の一歩へとつなげます。
未経験からバス運転手への転職を検討する方の代表的な不安と、それぞれへの結論を整理します。
業界全体で人材不足が続く中、未経験者の採用門戸はかつてなく広がっています。あとは「自分に合う会社」をどう見つけるかという点に絞られます。
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