運送会社が倒産・廃業したら?失業手当と手続き完全ガイド

最終更新日:2026年02月25日

倒産 運送 会社

運送会社の倒産や廃業は、突然の解雇や賃金未払いといった深刻な問題を引き起こします。次の仕事を探すより先に、さまざまな手続きが壁となって立ちはだかることも少なくありません。

本記事では、厚生労働省や国土交通省などの公的機関が発信する一次情報のみを根拠に、失業手当の受給方法、未払賃金への対応、離職票の確認ポイント、社会保険や年金の切り替え、住居支援まで、今日から取るべき行動を順を追って整理します。2025年4月以降に適用される給付制限期間の変更や、最新の国民年金保険料額も反映しています。困ったときに頼れる相談窓口も明示していますので、根拠のない情報に惑わされることなく、必要な支援を確実に受けられるよう準備を進めましょう。

倒産した運送会社で職を失う前にやること

運送会社の「倒産」と「事業の休廃止」を正しく理解する

運送会社が事業を継続できなくなった場合、その状況は大きく「倒産」と「事業の休廃止」に分けられます。倒産はさらに「法律上の倒産」と「事実上の倒産」に区分されます(※1)。

法律上の倒産とは、破産手続開始、再生手続開始、更生手続開始、特別清算開始の決定を受けた場合を指します。一方、事実上の倒産とは、中小企業が事業活動を停止し、再開の見込みがなく、賃金支払能力がないことについて労働基準監督署長の認定を受けた場合を指します(※1)。

事業の休廃止は、失業や退職に関連する制度において用いられる用語で、会社が倒産手続を経ずに事業を停止した状態を指すこともあります(※2)。これらの区分は、後述する未払賃金立替払制度や失業手当の受給要件に直接影響するため、自分の会社がどの状況にあるのかを把握しておくことが重要です。

倒産 運送 会社1

【参考URL】 ※1 出典:厚生労働省「未払賃金の立替払制度の概要」 https://www.mhlw.go.jp/content/001281250.pdf ※2 出典:厚生労働省「国民年金法施行規則の一部を改正する省令等の施行について(通知)」 https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=73022000&dataType=0&pageNo=1

退職勧奨・整理解雇・解雇の違いを理解する

運送会社が倒産局面を迎えると、退職勧奨、整理解雇、通常の解雇といったさまざまな形で労働契約が終了します。これらは似ているようで全く異なる仕組みです(※3)。

解雇とは、使用者が一方的に労働契約を解約する行為です。解雇を行う場合、会社は少なくとも30日前に予告するか、30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を支払わなければなりません(※3)。

整理解雇は、会社の経営上の理由により人員削減の必要性から行われる解雇です。整理解雇が有効と認められるためには、人員削減の必要性、解雇回避努力、人選の合理性、手続の妥当性という4つの要素が求められます(※3)。

退職勧奨は、使用者が労働者に自発的な退職を促す行為です。退職勧奨に応じて退職届を出した場合でも、必ずしも「自己都合退職」とはならず、実質的には会社都合と判断される場合もあります(※3)。会社からの説明は必ず書面で受け取り、保管しておきましょう。

倒産 運送 会社2

【参考URL】 ※3 出典:厚生労働省「労働契約の終了に関するルール」 https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudouseisaku/chushoukigyou/keiyakushuryo_rule.html

退職時の賃金・金品の返還期限を確認する

労働者が退職する場合、使用者は労働者の請求があった日から7日以内に、賃金を支払い、労働者の権利に属する金品を返還しなければなりません(※2)。これは労働基準法で定められた明確な義務です。

7日以内に給与や精算金が支払われない場合は、速やかに労働基準監督署へ相談することをおすすめします。未払いのまま放置すると、後々の立証が難しくなる可能性もあります。

倒産 運送 会社3

困ったときの相談窓口を把握する

倒産した運送会社の従業員が直面する問題は多岐にわたります。賃金の未払い、離職票が届かない、失業手当の受給方法がわからないなど、相談内容によって適切な窓口が異なります(※4)(※5)(※6)。

賃金未払いに関する相談は労働基準監督署、失業手当や離職票に関する相談はハローワークが窓口となります。労働条件全般についての相談は、各都道府県労働局の総合労働相談コーナーでも受け付けています(※5)。

相談の際は、雇用契約書、給与明細、離職票、会社からの通知書など、手元にある書類をできるだけ準備しておくとスムーズです。

倒産 運送 会社4

【参考URL】 ※4 出典:厚生労働省「相談機関のご紹介」 https://www.check-roudou.mhlw.go.jp/soudan/ ※5 出典:厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」 https://www.mhlw.go.jp/general/seido/chihou/kaiketu/soudan.html ※6 出典:厚生労働省「ハローワーク等所在地情報」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/hellowork.html

この章のまとめ

倒産や事業の休廃止には法律上の定義があり、未払賃金や失業手当の制度に影響します。解雇と退職勧奨は異なる仕組みであり、退職勧奨でも会社都合と判断される場合があります。退職後7日以内に賃金や金品が返還されない場合は労働基準監督署へ相談しましょう。相談内容に応じて、労働基準監督署、ハローワーク、総合労働相談コーナーを使い分けることが大切です。

次の章では、未払い賃金が発生した場合の具体的な対応方法として、未払賃金立替払制度について詳しく解説します。

倒産した運送会社で未払い賃金が出たとき

賃金支払の原則を理解する

賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を、毎月1回以上、一定期日に支払わなければなりません(※2)。これが賃金支払の5原則です。会社の経営状況にかかわらず、労働者が提供した労働に対する賃金は全額支払われるのが原則です。

ただし、労使協定がある場合には、一部を控除したり、振込で支払ったりすることが認められています(※2)。未払いが発生した場合には、この原則に照らして、本来支払われるべき金額を確認しましょう。

なお、賞与(ボーナス)は労働基準法上の「賃金」に含まれますが、後述する未払賃金立替払制度では対象外となる点に注意が必要です(※1)。

倒産運送会社5

退職時の精算は7日以内が原則

前章でも触れましたが、退職時には労働者の請求があった日から7日以内に賃金を支払い、金品を返還しなければなりません(※2)。この期限を過ぎても支払われない場合、未払賃金立替払制度の対象となる可能性があります。

7日を経過した時点で、給与明細や雇用契約書、タイムカードなど、未払いを証明できる書類を整理し、労働基準監督署へ相談することをおすすめします。

倒産運送会社6

未払賃金立替払制度の対象と要件

未払賃金立替払制度は、会社が倒産したために賃金が支払われないまま退職した労働者に対し、未払賃金の一部を国が立替払いする制度です(※1)。

この制度を利用するには、大きく分けて事業側の要件と労働者側の要件を満たす必要があります。

事業側の要件は、次のいずれかに該当することです(※1)。

1.法律上の倒産:破産、特別清算、民事再生、会社更生の手続開始決定を受けたこと 2.事実上の倒産:中小企業が事業活動を停止し、再開の見込みがなく、賃金支払能力がないことについて労働基準監督署長の認定を受けたこと

労働者側の要件は、次の3点です(※1)。

1.倒産について破産手続開始等の申立て(法律上の倒産)または労働基準監督署への認定申請(事実上の倒産)が行われた日の6か月前から2年の間に退職したこと 2.未払賃金があること 3.破産手続開始等の決定日または認定日の翌日から2年以内に立替払請求を行うこと

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未払賃金立替払制度の支給額と対象外の賃金

立替払される金額は、未払賃金総額の80%です。ただし、退職日の年齢に応じて上限額が設定されています(※1)。

倒産運送会社8

対象となる未払賃金は、退職日の6か月前から立替払請求日の前日までに支払期日が到来している定期賃金と退職金です。賞与(ボーナス)、解雇予告手当、年次有給休暇の買上げ代金などは対象外となります(※1)。

相談・申請の導線

未払賃金立替払制度の相談や申請は、最寄りの労働基準監督署で行います(※7)。法律上の倒産の場合は破産管財人等が、事実上の倒産の場合は労働者本人が手続を進めることになります。

相談の際は、以下の書類を準備しておくとスムーズです。

・給与明細書雇用契約書または労働条件通知書 ・タイムカード(ある場合) ・退職証明書(ある場合) ・会社からの通知書類

全国の労働基準監督署の所在地は、厚生労働省のウェブサイトで確認できます(※7)。

【参考URL】 ※7 出典:厚生労働省「全国労働基準監督署の所在案内」 https://www.mhlw.go.jp/kouseiroudoushou/shozaiannai/roudoukyoku/

この章のまとめ

賃金は通貨で直接全額支払うのが原則です。退職後7日以内に支払われない場合は労働基準監督署へ相談しましょう。未払賃金立替払制度は、倒産した会社の未払賃金の80%(年齢別上限あり)を国が立替払いする制度です。賞与は対象外です。まずは労働基準監督署へ相談することが第一歩となります。

次の章では、失業手当(基本手当)の受給方法について、2025年4月以降の給付制限期間の変更を含めて詳しく解説します。

倒産した運送会社で失業手当を受ける

基本手当の目的と受給の前提

失業手当(正式には「基本手当」)は、雇用保険の被保険者が離職して、失業している場合に支給される給付です(※8)(※9)。ただし、単に会社を辞めただけでは受給できません。

基本手当を受給するには、次の条件を満たす必要があります(※8)(※9)。

1.就職しようとする積極的な意思があること 2.いつでも就職できる能力(健康状態・環境など)があること 3.積極的に求職活動を行っているにもかかわらず、現在職業に就いていないこと 4.離職の日以前2年間に、雇用保険の被保険者期間が通算して12か月以上あること(倒産・解雇等の場合は、離職の日以前1年間に被保険者期間が通算して6か月以上)

病気やけが、妊娠・出産・育児などですぐに就職できない場合は、基本手当の受給対象外となりますが、受給期間の延長手続を行うことで、後日受給できる場合があります(※8)。

倒産運送会社9

【参考URL】 ※8 出典:厚生労働省「基本手当について」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000135026.html ※9 出典:ハローワークインターネットサービス「基本手当について」 https://www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_basicbenefit.html

受給手続の流れ

基本手当の受給手続は、住所地を管轄するハローワークで行います(※6)(※8)。手続の大まかな流れは次のとおりです。

1.求職申込み:ハローワークで求職申込みを行う 2.受給資格決定:離職票などを提出し、受給資格の決定を受ける 3.雇用保険受給説明会:受給に関する説明を受ける 4.待期期間:受給資格決定日から7日間は「待期」となり、基本手当は支給されない 5.失業の認定:原則として4週間に1度、失業の認定(失業状態にあることの確認)を受ける 6.基本手当の支給:認定を受けた日数分の基本手当が指定口座に振り込まれる

この流れを繰り返し、所定給付日数分の基本手当を受給します。

給付制限期間の変更

正当な理由なく自己都合で退職した場合、これまでは原則として2か月または3か月の給付制限期間がありましたが、2025年4月1日以降は原則として1か月に短縮されます(※10)。

ただし、過去5年間に3回以上正当な理由のない自己都合退職がある場合は、3か月の給付制限となります(※10)。また、一定の教育訓練を受講開始した場合には、給付制限が解除される仕組みもあります(※10)。

倒産や解雇など、会社都合による離職の場合は、給付制限期間はありません(※8)(※9)。

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【参考URL】 ※10 出典:厚生労働省「離職されたみなさまへ」 https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000951119.pdf

所定給付日数

基本手当を受給できる日数(所定給付日数)は、離職理由、年齢、雇用保険の被保険者であった期間によって異なります(※11)(※12)。

倒産や解雇などの理由により離職した場合は「特定受給資格者」に該当し、自己都合退職よりも所定給付日数が多くなります(※11)(※12)。ただし、最終的な判定はハローワークが行います。

特定受給資格者の所定給付日数(一部抜粋)は次のとおりです(※11)。

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【参考URL】 ※11 出典:ハローワークインターネットサービス「基本手当の所定給付日数」 https://www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_benefitdays.html ※12 出典:厚生労働省「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲と判断基準」 https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/koyouhoken05/pdf/03.pdf

基本手当日額の改定

基本手当日額は、離職前の賃金をもとに算出されます。2025年8月1日以降の失業認定日から、新しい計算式と上限額が適用されます(※13)。8月1日より前に離職した方でも、8月1日以降の認定日であれば、引き上げられた新しい基本手当日額が適用されます。

基本手当日額は、原則として離職前6か月間の賃金合計を180で割った「賃金日額」に、給付率(50~80%)を掛けて算出します(※13)。賃金日額や基本手当日額には年齢区分ごとに上限・下限が設定されています。

最新の計算式や上限額については、厚生労働省の公表資料を確認してください(※13)。

【参考URL】 ※13 出典:厚生労働省「雇用保険の基本手当日額の変更」 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_59748.html

この章のまとめ

基本手当を受給するには、就職の意思・能力があり、求職活動を行っていることが前提です。手続はハローワークで行い、受給資格決定後7日間の待期を経て支給が始まります。2025年4月以降、自己都合退職の給付制限期間は原則1か月に短縮されます。倒産や解雇の場合は給付制限がなく、所定給付日数も多くなる可能性があります。

次の章では、会社都合の判定と離職票のチェックポイントについて解説します。

倒産した運送会社の「会社都合」判定と離職票トラブル対応

倒産した運送会社は「特定受給資格者」になり得る

倒産や解雇など、会社側の都合により離職を余儀なくされた場合、「特定受給資格者」に該当する可能性があります(※12)(※8)。特定受給資格者に該当すると、給付制限期間がなく、所定給付日数も一般の離職者より多くなります。

ただし、特定受給資格者に該当するかどうかの最終判断はハローワークが行います(※12)。会社が離職票に記載した離職理由と、実際の状況が異なる場合は、ハローワークで訂正を申し出ることができます。

倒産運送会社12

離職票-2の記載箇所と注意点

離職票には「離職票-1」と「離職票-2」があります。離職票-2には、離職理由を記載する欄があり、ここが給付制限や所定給付日数に直結します(※14)。

離職票-2には、次のような記載欄があります(※14)。

・「1 倒産・解雇等による離職」 ・「3 事業所の倒産等による離職」 ・「4 事業所の廃止等による離職」

倒産や廃業の場合、これらの該当欄にチェックが入っているかを必ず確認してください。もし「2 労働者の個人的な事情による離職」にチェックが入っている場合は、会社の記載誤りか、実態と異なる可能性があります(※14)。

倒産運送会社13

【参考URL】 ※14 出典:厚生労働省「離職票-2の記載方法」 https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001245715.pdf

会社から離職票が出ない・記載が違うときの動き方

会社が倒産・廃業した場合、離職票が届かないことがあります。また、届いた離職票の記載内容が実態と異なる場合もあります。

離職票が交付されない場合や記載内容に疑問がある場合は、ハローワークに相談してください(※6)。ハローワークは会社に対して離職票の交付を促したり、離職理由の確認を行ったりします。

会社と連絡が取れない場合でも、手持ちの給与明細、雇用契約書、退職時のやり取りのメモなどを持参して、ハローワークで事情を説明することで対応してもらえる場合があります(※6)。

トラブルの内容によっては、総合労働相談コーナーでも相談を受け付けています(※5)。

倒産運送会社14

この章のまとめ

離職票の記載内容は、給付制限や所定給付日数に直結します。倒産の場合は特定受給資格者に該当する可能性があり、離職票-2の該当欄にチェックが入っているかを確認しましょう。記載内容が実態と異なる場合や離職票が届かない場合は、ハローワークへ相談してください。

次の章では、退職後の生活を支える公的支援制度について解説します。

倒産した運送会社の退職後、生活をつなぐ公的支援

住居確保給付金

住居確保給付金は、離職等により経済的に困窮し、住居を失った方または失うおそれのある方に対して、家賃相当額を支給する制度です(※15)(※16)(※17)。

対象となるのは、離職後2年以内の方などで、一定の資産・収入要件を満たし、求職活動を行っていることが条件です(※15)(※16)。支給期間は原則3か月間で、一定の要件を満たせば最長9か月まで延長できる場合があります(※16)。

倒産運送会社14

申請窓口は、お住まいの市区町村の自立相談支援機関です(※15)(※17)。

【参考URL】 ※15 出典:厚生労働省「住居確保給付金のご案内(リーフレット)」 https://www.mhlw.go.jp/content/12600000/001436774.pdf ※16 出典:厚生労働省「生活を支えるための支援のご案内(住居確保給付金)」 https://corona-support.mhlw.go.jp/jukyokakuhokyufukin/index.html ※17 出典:厚生労働省「生活困窮者自立支援制度(住居確保給付金)」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000073432.html

生活困窮者自立支援制度

生活困窮者自立支援制度は、経済的に困窮し、最低限度の生活を維持できなくなるおそれのある方を対象に、自立に向けた包括的な支援を行う制度です(※17)。

自立相談支援機関では、相談員が一人ひとりの状況に応じた支援プランを作成し、住居確保給付金のほか、就労準備支援、家計改善支援などの各種支援を組み合わせて提供します(※17)。

倒産運送会社16

相談は無料で、市区町村の自立相談支援機関で受け付けています(※17)。

生活保護制度

生活保護制度は、生活に困窮する方に対し、その困窮の程度に応じて必要な保護を行い、最低限度の生活を保障するとともに、自立を助長することを目的とした制度です(※18)。

保護の要件は、世帯単位で判定され、資産・能力などすべてを活用してもなお生活に困窮する場合に適用されます(※18)。相談・申請窓口は、お住まいの市町村の福祉事務所です。

倒産運送会社17

生活保護は最後のセーフティネットです。必要な場合は、ためらわずに相談することをおすすめします(※18)。

【参考URL】 ※18 出典:厚生労働省「生活保護制度」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/seikatuhogo/index.html

この章のまとめ

退職後の生活を支える公的支援として、住居確保給付金、生活困窮者自立支援制度、生活保護制度があります。住居確保給付金は家賃相当額を支給し、原則3か月(最長9か月)利用できます。自立相談支援機関では、一人ひとりに合わせた支援プランを作成してくれます。生活保護は最後のセーフティネットとして、必要な場合は市町村の福祉事務所へ相談しましょう。

次の章では、退職後に必要な社会保険・年金の手続きについて解説します。

倒産した運送会社の退職後に必要な社会保険・年金手続き

健康保険の選択肢を整理する

会社を退職すると、それまで加入していた健康保険(社会保険)の資格を失います。退職後の健康保険には、主に次の選択肢があります(※19)(※20)。

1.任意継続被保険者制度:退職前の健康保険に個人で継続加入する(最長2年間) 2.国民健康保険:市区町村が運営する健康保険に加入する 3.家族の健康保険の被扶養者になる

任意継続被保険者になるには、退職日までに継続して2か月以上被保険者であったことなどの要件があります(※19)。また、退職日の翌日から20日以内に手続きを行う必要があります(※19)。

国民健康保険に加入する場合は、退職日の翌日から14日以内にお住まいの市区町村で手続きを行います(※20)。

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【参考URL】 ※19 出典:厚生労働省「任意継続被保険者制度のご案内」 https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/000568743.pdf ※20 出典:厚生労働省「国民健康保険制度」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/koukikourei/index_00002.html

国民健康保険:加入・脱退は14日以内

会社の健康保険をやめた場合、他の健康保険に加入しない限り、国民健康保険に加入する必要があります(※20)。手続きは、退職日の翌日から14日以内に、お住まいの市区町村の窓口で行います。

14日を過ぎても加入手続きは可能ですが、保険料はさかのぼって請求される場合があります。また、手続きが遅れると、その間に医療機関を受診した場合、医療費が全額自己負担となるリスクがあります。

倒産運送会社19

国民年金:加入・切り替え後の納付期限

会社を退職すると、厚生年金保険から国民年金(第1号被保険者)への切り替えが必要です(※21)。手続きは、退職日の翌日から14日以内に、お住まいの市区町村の窓口で行います。

国民年金保険料の納付期限は、対象月の翌月末日です(※21)。たとえば、4月分の保険料は5月末日までに納付します。

倒産運送会社20

【参考URL】 ※21 出典:厚生労働省「国民年金に加入するための手続き」 https://www.mhlw.go.jp/content/12500000/001556500.pdf

国民年金保険料の最新額

国民年金保険料は、令和6年度(2024年度)は月額16,980円でしたが、令和7年度(2025年度)は月額17,510円、令和8年度(2026年度)は月額17,920円に改定されます(※22)。

たとえば、夫婦2人とも国民年金に加入する場合、令和7年度の保険料は月額35,020円(17,510円×2人)となります。

倒産運送会社21

【参考URL】 ※22 出典:厚生労働省「令和7年度の年金額改定について」 https://www.mhlw.go.jp/content/12600000/001436802.pdf

失業等による国民年金保険料免除・納付猶予

離職により保険料の納付が困難な場合は、国民年金保険料の免除や納付猶予の申請ができます(※2)(※23)。

免除・納付猶予の申請には、原則として離職票や雇用保険受給資格者証などの添付が必要ですが、過去に提出済みの場合は添付を省略できる場合があります(※2)(※23)。

申請は、お住まいの市区町村の国民年金担当窓口で行います(※23)。免除・納付猶予が承認されても、将来受け取る年金額が減る場合があるため、経済状況が改善したら追納(後から納付)することをおすすめします。

倒産運送会社22

【参考URL】 ※23 出典:厚生労働省「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」 https://www.mhlw.go.jp/content/12500000/001556501.pdf

この章のまとめ

退職後は、健康保険と国民年金の切り替え手続きが必要です。国民健康保険への加入は退職日の翌日から14日以内に行いましょう。国民年金保険料は、令和7年度は月額17,510円、令和8年度は月額17,920円です。保険料の納付が困難な場合は、免除・納付猶予の申請を検討してください。

次の章では、早期再就職を目指す方のための手当とハローワーク活用法について解説します。

倒産した運送会社の退職後、再就職を早めて手取りを守る

就職促進給付とは

就職促進給付は、失業者の早期再就職を促進するための給付です(※24)(※25)。主なものとして「再就職手当」と「就業促進定着手当」があります。

再就職手当は、基本手当の受給資格者が早期に安定した職業に就いた場合に支給される一時金です(※24)(※25)。就業促進定着手当は、再就職手当の支給を受けた方が、再就職先での賃金が離職前より低い場合に支給されます(※24)。

倒産運送会社23

【参考URL】 ※24 出典:厚生労働省「就職促進給付」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000135058.html ※25 出典:ハローワークインターネットサービス「就職促進給付」 https://www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_stepup.html

再就職手当の要件と計算式

再就職手当を受給するには、次のような要件を満たす必要があります(※25)。

1.受給資格決定後、7日間の待期期間満了後に就職または事業を開始したこと 2.就職日の前日までの失業の認定を受けた上で、基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上あること 3.離職前の事業主に再び雇用されたものでないこと 4.給付制限がある場合は、待期期間満了後1か月間はハローワークまたは職業紹介事業者の紹介により就職したこと 5.1年を超えて勤務することが確実であると認められること 6.原則として、雇用保険の被保険者となる見込みがあること

再就職手当の支給額は、次の式で計算します(※25)。

支給額 = 基本手当日額 × 支給残日数 × 給付率

給付率は、支給残日数によって異なります(※25)。

・支給残日数が所定給付日数の3分の2以上の場合:70% ・支給残日数が所定給付日数の3分の1以上3分の2未満の場合:60%

たとえば、基本手当日額が5,000円、所定給付日数が90日で、就職日前日の支給残日数が60日(所定給付日数の3分の2以上)の場合、再就職手当は次のようになります。

5,000円 × 60日 × 70% = 210,000円

倒産運送会社24

就業促進定着手当の位置づけ

就業促進定着手当は、再就職手当の支給を受けた方が、再就職先に6か月以上雇用され、かつ再就職先での6か月間の賃金の1日分の額が、離職前の賃金日額を下回る場合に支給されます(※24)。

この手当は、早期に再就職しても賃金が下がってしまった方への支援として位置づけられています(※24)。

倒産運送会社25

教育訓練で給付制限解除を使う

正当な理由なく自己都合で退職した場合の給付制限期間中でも、公共職業訓練等を受講することで、給付制限が解除される場合があります(※10)。

2025年4月以降、給付制限期間は原則1か月に短縮されましたが(※10)、教育訓練を活用することで、スキルアップしながら早期に基本手当を受給できる可能性があります。

詳しくは、ハローワークで相談してください(※6)。

全国のハローワークを使い倒す

ハローワークでは、求人情報の提供、職業相談、職業紹介のほか、基本手当の受給手続きや就職促進給付の申請も行えます(※6)(※8)。

ハローワークを活用する際の手順は、次のとおりです。

1.求職申込み:求職票に希望する仕事の内容などを記入 2.職業相談:相談員と面談し、求人情報の紹介を受ける 3.求人検索:ハローワーク内の端末で求人情報を検索 4.失業認定:定期的に失業認定を受け、基本手当を受給 5.就職決定後:再就職手当等の申請

全国のハローワークの所在地は、厚生労働省のウェブサイトで確認できます(※6)。

転職活動は、ハローワークなどの公的支援を活用しながら進めることが大切です。運送業界での転職を希望する場合は、業界に特化した転職サービス『GOジョブ』も併用することで、より多くの選択肢を得られる可能性があります。

この章のまとめ

早期に再就職すると、再就職手当を受け取れる可能性があります。支給額は、基本手当日額×支給残日数×給付率(60%または70%)で計算されます。再就職後の賃金が離職前より低い場合は、就業促進定着手当も支給されます。教育訓練を受講することで給付制限が解除される場合もあります。ハローワークで求職活動を行いながら、必要に応じて業界特化型の転職サービスも活用しましょう。

まとめ

運送会社の倒産や廃業により職を失った場合、未払賃金、失業手当、社会保険、住居支援など、さまざまな制度を活用できます。

まず、倒産と事業の休廃止の違いを理解し、退職後7日以内に賃金が支払われない場合は労働基準監督署へ相談しましょう。未払賃金立替払制度は、未払賃金の80%(年齢別上限あり)を国が立替払いする仕組みです。

失業手当(基本手当)の受給には、就職の意思・能力・求職活動が前提です。2025年4月以降、自己都合退職の給付制限期間は原則1か月に短縮されました。倒産・解雇の場合は給付制限がなく、所定給付日数も多くなる可能性があります。離職票の記載内容は必ず確認し、実態と異なる場合はハローワークで訂正を申し出ましょう。

退職後の生活を支える制度として、住居確保給付金、生活困窮者自立支援制度、生活保護制度があります。健康保険と国民年金の切り替え手続きは、退職日の翌日から14日以内に行いましょう。国民年金保険料は、令和7年度は月額17,510円、令和8年度は月額17,920円です。

早期に再就職すると、再就職手当や就業促進定着手当を受け取れる可能性があります。ハローワークで求職活動を行いながら、必要に応じて業界特化型の転職サービスも活用することで、より良い再就職先を見つけやすくなります。

運送業界での転職をお考えの方は、業界に精通した転職サービス『GOジョブ』も選択肢の一つです。公的支援と民間サービスを組み合わせることで、安定した次のステップへと進むことができるでしょう。

困ったときは一人で抱え込まず、労働基準監督署、ハローワーク、市区町村の窓口など、適切な相談先を利用してください。必要な支援を確実に受けることが、新しい生活への第一歩となります。