未経験からトラック運転手になるには?必要な免許・年収・働き方の最新ガイド

最終更新日:2025年09月04日

トラック 女性

トラック運転手は、日本の物流を支える重要な職業です。未経験者でも免許を取得すればチャレンジ可能で、人手不足の業界ゆえに中高年からの転職組や女性ドライバーも増加傾向にあります。また、トラック輸送は国内貨物輸送量(トンキロベース)の約半分を占めており、2017年度は50.9%に達しています(※1)。全国に約6万2千社の事業者と約188万人の従業員が活躍する重要な産業です(※2)。

トラック運転手になるには、まず仕事内容や求められる適性を理解し、自分に合ったトラックの種類や運行形態を選ぶことが大切です。近年は法改正により労働環境が改善されつつあり、働き方も変化しています。本記事では、トラックドライバー志望者が気になる必要な免許や資格、年収や労働時間、未経験からのステップ、会社選びのポイントなどを一次情報に基づいて詳しく解説します。

参考URL

・※1・※2出典:国土交通省「総合政策局交通政策課 物流業界の現状について」 https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/transport/content/001313034.pdf

トラック運転手の仕事内容と種類

トラック運転手は、トラックやトレーラーなどの貨物自動車を運転して荷物を輸送する仕事です。その仕事の内容は、運転する車両の大きさや輸送距離などによって異なります。一般的にトラックは大きさと用途によって小型・中型・大型の3つに分類されます。

小型トラックは主にコンビニ配送や宅配便といった近距離の運送に使われ、中型トラックは中距離・近距離問わず幅広い用途で利用されます。そして大型トラックは都市間を結ぶ長距離の大量輸送に適しており、それぞれ運転に必要な免許区分も異なります。

たとえば、小型トラックドライバーは地域の店舗や個人宅への配送が中心で、1日の中で積み降ろしや集配を繰り返します。一方、長距離大型トラックの運転手は数百キロ離れた都市へ高速道路を使って運行し、一度に大量の貨物を運ぶといった働き方になります。

そのほか、ルート配送(決まった取引先を巡回する定期便)や、タンクローリー・ウィング車など特殊車両のドライバー、トレーラーでコンテナを牽引するけん引ドライバーなど、扱う車種や荷物の種類によって細かな職種分けがあります。また自家用トラック(白ナンバー)は主に自社の資材運搬に使われ、営業用トラック(緑ナンバー)は物流会社などによる荷物の有償輸送に使われるなどの違いもあります。

このように、一口にトラック運転手といっても仕事内容は多岐にわたり、自分に合った分野を選ぶことが可能です。

トラック運転手に向いている人・不向きな人と求められる適性

向いている人の特徴

トラックドライバーには、安全第一で長時間の単独作業に耐えられる集中力と自己管理能力が求められます。運転中は常に周囲の交通状況に注意を払い、事故を防ぐ慎重さが必要です。また荷物を扱う現場では体力や持久力も重要で、重い荷物の積み降ろし作業が多い仕事ではフォークリフト資格などがあると業務の幅が広がります。

加えて、不特定多数の人と接する営業職とは異なり、運転中は一人で過ごす時間が長いためマイペースに黙々と作業できる人が向いています。決められた時間までに確実に荷物を届ける責任感や時間管理能力も欠かせません。さらに、トラック運送は天候や道路状況によって予定が変わることもあるため、臨機応変に対応できる柔軟性やストレス耐性も求められます。

不向きな人の傾向

反対に、長時間座り続けることが苦手な人や、不規則な勤務時間に適応しづらい人にはトラック運転手の仕事は厳しいかもしれません。早朝・深夜の運行や長距離運転では生活リズムが乱れがちになるため、規則正しい生活を重視する人には不向きに感じられるでしょう。

また、運転中は基本的に一人なので、常に誰かと会話しながら仕事をしたいというタイプの人にも孤独に感じる場面があるかもしれません。大きな車両の運転にはプレッシャーも伴うため、運転そのものに強い不安を感じる人や注意力が散漫な人には適さないでしょう。

求められる適性・心構え

まず何より安全運転の意識が高いことが重要です。プロのドライバーとして法規を遵守し、無理のない運行を心がける姿勢が求められます。健康管理も大切で、長時間運行や夜間運行の場合は体調維持に気を配る必要があります。例えば長距離ドライバーは睡眠不足にならないよう十分な休息を取る自己管理が必要です。

また、運ぶ荷物によっては納品先の担当者など人と接する機会もあります。その際、清潔な服装や丁寧な応対を心がけることが信頼関係を築く上で大切です。トラック運転手のほとんどは男性ですが、近年は女性ドライバー(愛称:トラガール)も少しずつ増えており、性別に関わらず活躍できる環境整備が進んでいます。

総じて、安全・健康・時間管理への意識と、地道に取り組む姿勢がある人がトラック運転手に向いていると言えるでしょう。

トラック運転手になるために必要な免許と取得ステップ

必須の運転免許

トラックドライバーとして働くには、扱う車両の大きさに応じた第一種運転免許が必要です。基本的な区分としては以下のとおりです。

普通自動車免許(普通免許):満18歳から取得可能で、車両総重量3.5トン未満・最大積載量2トン未満の比較的小型の車両が運転できます。いわゆる2トントラック(車両総重量5トン未満程度)は、2017年3月の道路交通法改正以前に免許を取得していれば普通免許で運転可能ですが、現在は普通免許だけではこれら中型の小さいトラックを運転できない場合があります(※改正前取得者は「5トン限定準中型免許」として既得権保護)(※3)。

準中型自動車免許(準中型免許):2017年新設の免許で、18歳から取得可能です(※4)。車両総重量3.5トン以上7.5トン未満(最大積載量2トン以上4.5トン未満)のトラックを運転できます。宅配便の集配に使われる3トン車や、小型の4トン車(総重量7トン前後)はこの準中型免許が必要になります。

中型自動車免許(中型免許):満20歳以上かつ普通免許などの保有期間が2年以上という条件で取得できます。車両総重量7.5トン以上11トン未満(最大積載量4.5トン以上6.5トン未満)の中型トラックを運転可能です。いわゆる大型4トントラック(総重量8~10トン級)や、一部の観光バス・マイクロバスも中型免許の範囲に含まれます(※5)。

大型自動車免許(大型免許):満21歳以上かつ普通・準中型・中型いずれかの免許保有期間が通算3年以上で受験できます。車両総重量11トン以上または最大積載量6.5トン以上の大型トラック・大型バスを運転できる免許です。10トントラックやトレーラーヘッドなど、大型車両の運転にはこの免許が必須となります(※6)。

これらに加え、トレーラーなど連結車両を牽引する場合はけん引免許が別途必要です。ガソリンや薬品などの危険物を運ぶ業務には危険物取扱者資格、高圧ガスを運ぶには高圧ガス移動監視者といった資格も法令で定められています。荷役にフォークリフトを使う現場ではフォークリフト運転技能講習修了が求められる場合もあり、これらの資格があると「運べる荷物・車両の幅が広がる」ため就職には有利です。

免許取得のステップ

未経験から大型トラックドライバーを目指す場合、一般的には以下のステップを踏むことになります。

1.普通免許を取得し、小型トラックの業務で経験を積む まず普通免許を取得し(すでに所持している場合は次へ進み)、運転可能な範囲で小型トラックの配送業務に就いて運転経験を積みます。

2.準中型免許・中型免許を取得してステップアップ 次に、扱いたい車両に応じて準中型免許あるいは中型免許を自動車教習所等で取得し、中型以上のトラックにステップアップします。

3.大型免許を取得して大型車両を運転可能に 最終的に大型免許を取得すれば、大型トラックやトレーラーの運転が可能になります(※大型免許は満21歳以上かつ3年以上の運転経験が必要)。

なお、2022年の道路交通法改正で新設された「受験資格特例教習」を修了すれば、本来必要だった年齢・経験要件が一時的に引き下げられ、19歳以上かつ普通免許等保有1年以上という条件で大型免許や中型免許の試験を受けることが可能になりました(※7)。

この特例教習は所定の学科・技能講習を修了することで実施され、若年者でも早期にトラックドライバーとして活躍できるようになる一方、特例で取得した免許には違反時の特別講習(若年運転者講習)や一定条件下での免許取消し制度(若年運転者期間)も設けられています(※8)。

人手不足が深刻な昨今、未経験者を見習いから育成する制度を用意している運送企業もあります。実際に20代後半~50代くらいで他業界から転職してくる例も増えているため(※9)、「もう若くないから…」と尻込みする必要はありません。健康でやる気があれば何歳からでも挑戦できる仕事と言えます。

免許取得費用の目安

トラック関連の免許取得にかかる費用は、取得段階や教習プランによって異なりますが、準中型免許で20万円前後、中型免許で30万円前後、大型免許では40万円以上かかるケースが一般的です(※10)。ただし会社によっては「準中型免許なしOK(入社後に会社負担で取得可)」と求人票に明記しているところもあり、働きながら取得支援を受けられる場合もあります。

参考URL

・※3・※4出典:警察庁「準中型免許について」 https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/seibi/junkei.html

・※5・※6出典:警察庁「運転免許制度について」 https://www.npa.go.jp/policies/application/license_renewal/license.html

・※7・※8出典:警察庁「受験資格特例教習について」 https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/jyuken_tokurei.html

・※9・※10出典:国土交通省「トラック運送業界における人材確保の取組」 https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_tk2_000137.html

労働時間・休息・残業に関する2024年以降の制度

トラック運転手の労働時間はこれまで長時間に及びがちで、いわゆる「過労運転」が社会問題となってきました。しかし近年、働き方改革関連法の施行により2024年4月からトラックドライバーにも一般労働者と同様の時間外労働規制が適用されることになりました(※11)。

具体的には、自動車運転者の時間外労働の上限が原則として月45時間・年360時間まで、特別な事情がある場合でも年960時間までと明確に定められています(※12)。さらに、貨物ドライバーの勤務時間や休息に関する業界固有の基準である「改善基準告示」も2024年に大幅に見直され、長時間労働の抑制策が強化されました。

例えば2024年4月以降の新しい改善基準告示では、トラックドライバーの年間拘束時間の上限が従来の3,516時間から原則3,300時間(特例3,400時間)に短縮され、1か月の拘束時間も原則284時間以内(特例310時間まで、年6か月以内)と厳しい制限が設けられました。また1日の休息期間も原則連続11時間(少なくとも9時間以上)確保することとされ、休憩なしで延々と運転し続けるようなことは禁止されています(※13)。

これらの規制強化により、従来のような月100時間超えの残業や過密運行は是正されていく見込みです。国土交通省と厚生労働省は共同で、取引環境の改善(荷主側への協力要請)や物流効率化によって長時間労働の抑制に取り組んでおり、荷待ち時間の削減や荷役作業の機械化なども進められています(※14)。

今回の規制強化はトラック業界にとって大きな転換期(いわゆる「2024年問題」)となりますが、裏を返せばドライバーにとっては働きやすい環境改善のチャンスです。法規を順守する企業であれば、今後は無理な長時間運転や過労によるリスクが減り、適正な労働時間・休息時間の下で安全に働けるようになるでしょう。一方で、生産性向上の取り組みが進まないと運ぶ荷物量に対してドライバーの数が不足し、物流に支障が出る恐れも指摘されています(※15)。そのため国全体で業務の効率化・省力化を進めつつ、待遇改善によって新たな人材を呼び込むことが重要視されています。

2024年以降はドライバー一人ひとりの労働時間管理がより厳格になり、タイムカードやデジタコ(デジタルタコグラフ)による走行記録を基に残業管理が行われます(※16)。就職希望者は求人票で所定労働時間や残業見込み時間を確認し、面接時にも「労働時間遵守の取り組み」について質問してみると良いでしょう。労務管理がしっかりした会社であれば、改善基準告示の内容を踏まえた無理のない勤務シフトを組んでいるはずです。

なお、長時間労働是正策の一環として2023年4月から中小企業でも月60時間超の時間外労働に対する割増賃金率が50%に引き上げられました(※17)。人手不足の運送業界では時間外労働そのものを削減するインセンティブとなっています。実際にはこれまで人手不足や業務都合で十分な休みが取れないケースもありましたが、今後は監督官庁による厳しいチェックが期待されます(※18)。

参考URL

・※11・※12・※13出典:厚生労働省「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(改善基準告示)」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/gyosyu/roudoujouken05/index.html

・※14・※15出典:国土交通省「トラック輸送における生産性向上・物流効率化」 https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_tk2_000135.html

・※16・※17・※18出典:厚生労働省「働き方改革関連法について」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000148322.html

トラック運転手の年収・待遇・ライフスタイルの実態

平均年収と賃金体系

トラック運転手の給与水準は、車種や運行形態によって幅がありますが、厚生労働省の統計によれば平均年収は約492万円(全国、令和6年賃金構造基本統計調査より)と報告されています(※19)。この数字は賞与も含めた額面の平均で、月収にするとおおむね30万円台後半といったところです。

一般に長距離大型トラックの運転手は各種手当が多く年収500万~600万円台になることもあります。一方、地域密着の中小物流会社では年収300万~400万円台からのスタートも珍しくありません。給与体系としては基本給+各種手当(残業代・運行手当など)で構成され、走行距離や運行時間に応じた歩合給や深夜手当など変動分が大きいのが特徴です。長く勤めて無事故無違反を続ければ昇給や賞与で待遇が上がる会社も多いです。

近年は労働時間規制の強化や人材確保策の一環として給与水準も少しずつ上昇傾向が見られます。全日本トラック協会の最新調査によれば、2024年度のトラックドライバー1人あたり月平均賃金は36万300円で前年より7.4%増加し、年間賞与の1か月分を含めた月額では40万4,100円(前年比+6.3%)となりました(※20)。ようやく待遇面の底上げが始まりつつある業界と言えそうです。

労働時間と休日

トラック運転手も正社員であれば社会保険に加入し、厚生年金・健康保険といった福利厚生は整備されています。ただし中小・零細企業では労働時間管理が緩かったり有給休暇の取得率が低かったりといった問題も指摘されてきました。

政府はこうした状況を改善すべく「働きやすい職場認証制度」を創設し、職場環境改善に取り組む運送事業者を認証する仕組みを設けています(※21)。この制度(正式名称:運転者職場環境良好度認証制度)では、運送事業者による労働条件・労働環境改善の取組状況を国が「見える化」して認証し、トラック業界のイメージアップと人材確保を後押しすることを目的としています(※22)。認証取得企業では労働時間・休日管理や健康管理体制が評価され、「一つ星」「二つ星」「三つ星」のランクで公表されます。

休日の日数については、大手企業では年間休日120日前後(完全週休2日+祝日休など)といった水準も見られますが、中小では年間休日105日前後(週休2日ベース)が一般的でしょう。運送業では荷主の稼働日に合わせて長期連休より単発の休日が多い傾向でしたが、有給休暇の計画的付与などで連休取得を推進する企業も増えています。なお2019年の法改正により年5日の年次有給休暇取得が企業に義務化されており、ドライバーがしっかりリフレッシュできる環境整備も進みつつあります。

ライフスタイルの特徴

トラック運転手の生活スタイルは、その勤務形態によってかなり異なります。毎日家に帰れる地場配送(近距離ドライバー)であれば、朝出社して夕方には帰宅するという会社員的なリズムに近いでしょう。ただし配送先によっては早朝出発や夜遅くの帰着もあり、不定期な残業が発生することもあります。

長距離ドライバーの場合、平日はずっとトラックで寝泊まりし週末にまとめて休む、といったケースもあります。高速道路のサービスエリアで仮眠を取ったり、会社の用意した仮眠施設で休憩したりと、旅をしながら働くような日々になるでしょう。家族との時間を取りづらい面はありますが、その分「運転に集中できる」「一人の時間を楽しめる」といった点に魅力を感じる人も多いようです。

近年はトラックにも快適なベッドやエアコンが完備されていたり、車内で電子レンジや冷蔵庫が使えたりと、長距離運行でも過ごしやすい工夫がされています。また運行中はラジオや音楽を聴いたり、サービスエリアでご当地グルメを楽しんだりと、ドライバーならではの楽しみもあります。

参考URL

・※19出典:厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」 https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2024/

・※20出典:全日本トラック協会「2024年度版 賃金・労働時間等の実態調査」 https://jta.or.jp/coho/chousa/2024_chingin_chousa.html

・※21・※22出典:国土交通省「働きやすい職場認証制度について」 https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_tk1_000025.html

トラック運転手の労働人口の現状

全日本トラック協会などの調査によれば、トラックドライバーの平均年齢は約50歳に達しています。業界全体で見ると50歳以上が約半数を占め、一方で29歳以下の若年層は全体の1割未満という極端な年齢構成になっています。また女性ドライバー比率はわずか2.5%程度にとどまり、全産業平均と比べても非常に低い水準です(※23)。

こうした高齢化と女性比率の低さが、人手不足に拍車をかけている要因です(※24)。そのため業界としては若者や女性の採用・育成に力を入れており、次の項で述べるような支援策やイメージアップ施策が展開されています。労働時間規制の強化や待遇改善も、これら人材確保策の一環と位置づけられています。結果として、以前に比べて給与水準も少しずつ上昇傾向が見られます(前述のとおり近年の賃金調査でも増加傾向)。

参考URL ・※23・※24出典:国土交通省「トラック運送業の現況について」 https://www.mlit.go.jp/common/001225739.pdf

中高年・女性ドライバーへの支援策と働き方の変化

国や自治体も中高年・女性ドライバー向けの支援策を講じています。ハローワークでは職業訓練の一環で大型トラックドライバー養成科を開講し、求職者支援訓練として大型免許やフォークリフト資格の取得を支援することがあります。対象者に給付金を支給しながら訓練を受けてもらい、修了後に提携企業へ就職する仕組みで、中高年の未経験者でも安心して技能習得ができます。

また女性向けには、運送会社とマッチングする就職相談会(「トラック女子(ジョ)説明会」など)が各地で開催されたり、子育て後の再就職先としてトラック業界を紹介するセミナーが行われたりしています。労働時間や就労形態についても多様なニーズに対応しようという動きがあり、短時間勤務ドライバーや週休3日制の導入など新しい働き方を模索する企業も出てきました。

安全に働ける会社選び

転職の際は、働きやすさや安全管理に積極的な会社を選ぶことも重要です。たとえば新人研修が充実しているか、定期的な安全運転講習や健康診断を実施しているかといった点を確認しましょう。

事故防止に力を入れている会社では、運転者の適性診断(NASVAの運転者適性検査)を定期的に受けさせていることがあります(※25)。NASVA(独立行政法人自動車事故対策機構)の適性診断は、トラックやバス等の運転者の「運転のクセ」を各種測定で明らかにし、個別にアドバイスを提供するもので、年間約46万人が受診する業界標準の安全ツールです(※26)。

こうした取り組みを行い毎月安全会議を開いている会社は安全意識が高いと言えます。逆に「見て覚えろ」という昔気質の社風だったり、トラックの整備不良が放置されているような会社は不安が残ります。

資格取得支援の制度があるかもチェックポイントです。中型免許から大型免許への社内推薦制度や、免許取得休暇制度などを設けている会社であれば、未経験からでもキャリアアップしやすいでしょう。

参考URL ・※25・※26出典:NASVA(独立行政法人自動車事故対策機構)「運転者適性診断の概要」 https://www.nasva.go.jp/fusegu/tekiseigaiyou.html

トラック運転手のキャリアパス(けん引・運行管理者・安全指導員など)

トラック運転手として経験を積んでいくと、様々なキャリアの展望が開けてきます。ずっと一人のドライバーとして現場で走り続ける道もありますが、追加の資格や免許を取得してステップアップすることで業務の幅を広げたり、管理職に就いたりすることも可能です。

スペシャリストへの道

ドライバーとしてのスキルアップの王道は、運転できる車両を大型化・特殊化していくことです。中型トラックに乗っていた方が大型免許を取得すれば、大型トラックでより長距離・大規模な輸送に携われるようになります。

またけん引免許を取得すればトレーラートラック(いわゆる海上コンテナやタンクローリーのヘッド部分)を運転できるようになるため、大型コンテナ輸送や危険物の大量輸送といった高付加価値の現場にステップアップできます。けん引車は運転の難易度も高い分、熟練ドライバーとして処遇されることが多く、給与面でも優遇される傾向があります。

さらに、運ぶ荷物の種類に応じた専門資格を取得すれば、仕事の幅が一層広がります。例えば危険物取扱者や高圧ガス運搬などの資格を追加取得することで、担当できる貨物の種類を増やすことができますし、運送会社内で運行管理者(輸送の安全管理を行う国家資格)や安全運転指導員(事業者内で運転者教育を担う講習修了者)として活躍する道もあります。

運行管理者資格はドライバー経験を活かして管理部門へ進む際に役立ちますし、安全運転指導員はNASVA等が実施する講習を受ければ誰でも目指せるポジションです。こうしたスペシャリスト資格の取得によって、トラックドライバーのキャリアはさらに広がっていきます。

マネジメントや別職種への転身

一定の運転経験を積んだ後、営業所の配車係や運行管理部門の管理職に進む例もあります。現場の事情を知る運転手出身の管理者は、ドライバーの気持ちを理解したマネジメントができると期待されます。

また、トラック業界での経験を活かして整備士の資格を取得したり、物流プランナーやドライバー育成のインストラクターに転身するといったケースもあります。トラック運転手の経験は、安全意識や責任感、時間管理能力など他職種でも評価されるスキルにつながります。現役を引退した後も、嘱託ドライバーや教習指導員として働き続ける人もおり、生涯にわたって物流業界に関われる職業と言えるでしょう。

よくある質問とその回答

Q1: 未経験でも本当にトラック運転手になれますか?

はい、未経験からでもトラックドライバーになることは十分可能です。実際に他業界から中高年で転職して活躍している例も多くあります。最初は小型トラックなど運転しやすい車両からスタートし、経験を積みながら必要な免許を段階的に取得していけば問題ありません。

最近では深刻なドライバー不足を背景に、準中型免許を持っていなくても入社後に会社負担で取得させてくれる企業もあります(※27)。ハローワークの職業訓練や各種支援制度も活用し、焦らず着実にステップアップしていきましょう。

Q2: 年齢制限はありますか?高齢でも大丈夫でしょうか?

トラックドライバーになるのに法的な上限年齢制限はありません。ただし大型免許は21歳以上、中型免許は20歳以上といった受験資格の年齢要件があります(※28)。高齢の方でも健康であれば採用している企業は多数あります。

むしろドライバーの平均年齢自体が50歳前後と高いため(※29)、業界的にも中高年の新人は珍しくありません。シニア向けの研修プログラムやマニュアルも整備されつつありますので、やる気があれば何歳からでも挑戦可能です。

Q3: トラック運転手の平均年収はどのくらいですか?

厚労省の調査ではトラック運転者の平均年収は約492万円となっています(※30)(賞与含む平均値、職業情報提供サイトの賃金統計)。月給にすると30~40万円程度がボリュームゾーンです。ただしこの数字は長距離から地場配送まで含めた平均であり、担当業務や会社規模によって差があります。

一般に長距離大型の運転手は手当も多く年収500万~600万円台になることもあります。一方、近距離中心の中小運送会社では年収300万~400万円台からのスタートも珍しくありません。歩合給や残業代によっても変動しますが、近年は前述のとおり改善基準の遵守により極端な残業ができなくなるため、残業代頼みの収入から基本給中心の安定収入へシフトしていくと考えられます。

Q4: 休みはちゃんと取れますか?

会社や業務内容にもよりますが、以前に比べれば休暇は取りやすくなっています。繁忙期(お歳暮・年末年始など)は休みが少なくなることもありますが、その分閑散期に休みをまとめて取るなど調整されます。

2024年の規制強化で月間の拘束時間や休日数も管理されるようになり、以前より計画的な休養取得が求められています。例えば連続勤務日数や運行後の休息時間に制限があるため、長距離運行の後は必ず一定の休みが入るようになっています。また有給休暇取得を促進する企業も増えており、年5日以上の有給消化は法律で義務化されました。面接時には休日体制や有給の取得状況についても確認し、自分の希望する働き方ができるか見極めましょう。

Q5: 女性でもトラック運転手になれますか?

もちろん女性でもトラックドライバーとして活躍できます。現在ドライバー全体に占める女性比率は数%程度と少ないですが(※31)、物流各社は「トラガール促進プロジェクト」などを通じて女性ドライバーの採用・定着に取り組んでいます。

たとえば女性専用の更衣室や休憩室を整備したり、力仕事をサポートする機器を導入する会社もあります。育児と両立できるよう短時間勤務制度や日勤限定の運行を用意している例もあります。実際に子育てが一段落した30~40代の女性がドライバーに挑戦するケースも増えており、業界として女性が働きやすい職場づくりが進んでいます。

大型トラックの運転そのものは男女差なくこなせますし、最近はトラックもオートマチック車や各種運転支援装置が普及しており、かつてより体力面のハードルは下がっています。安全運転や丁寧な接客が求められる仕事なので、女性ならではの気配りやきめ細やかさが武器になる場面も多いでしょう。

参考URL

・※27出典:厚生労働省「職業安定局 求職者支援制度について」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyushokusha_shien/index.html

・※28出典:警察庁「運転免許制度について」 https://www.npa.go.jp/policies/application/license_renewal/license.html

・※29出典:国土交通省「トラック運送業の現況について」 https://www.mlit.go.jp/common/001225739.pdf

・※30出典:厚生労働省「職業情報提供サイト(job tag)」 https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/477

・※31出典:国土交通省「女性ドライバー等の活躍推進に向けた取り組み」 https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_tk2_000133.html

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