ペットタクシーで愛犬・愛猫も安心移動!サービス内容・利用シーン・法規制の完全ガイド

最終更新日:2025年12月04日

ペット タクシー

近年、ペットタクシーがペット連れ移動の新常識になりつつあります。愛犬・愛猫を公共交通で連れ歩くのは制約が多く、マイカーがない飼い主にとって悩みの種です。そんな中、ペットタクシーは旅行や通院、引っ越しといった様々な場面でペットを輸送できるサービスとして注目されています。

本記事では、ペットタクシーの基本から利用すべきシーン、安心して利用するためのポイントまで網羅的にご紹介します。ペットタクシーに関わる法制度や、サービスの仕組みについても詳しく解説していきますので、これから利用を考えている方はぜひ参考にしてください。さらに記事の最後では、ペットタクシーに関わるドライバーのお仕事情報にも触れています。ペットも人も笑顔で移動できる方法を一緒に見ていきましょう。

ペットタクシーとは何か?最新の概要と法規制

ペットタクシーとは、犬や猫などのペットを目的地まで安全に輸送する専門のタクシーサービスです。飼い主も一緒に同乗できるタイプと、ペットのみを預かって輸送する専門タイプがあり、それぞれ異なる法規制のもとで運営されています。

ペットタクシーの法的な位置づけ

ペットタクシーの運営には、サービス形態に応じた許可や届出が必要です。飼い主が同乗できるペットタクシーは、道路運送法に基づく一般乗用旅客自動車運送業、いわゆるタクシー営業の許可を取得しなければなりません。一方、ペットのみを輸送する場合は、使用する車両に応じて一般貨物自動車運送事業の許可、または貨物軽自動車運送事業の届出が必要になります(※1)。

これらの許可や届出なしに有償でペットを輸送すると、道路運送法第83条に違反する違法行為となります(※2)。利用者としても、安全にサービスを受けるためには、依頼する業者が適切な許可を取得しているかを確認することが大切です。

ペットは法律上「物」として扱われる

法律の世界では、ペットは物品や荷物として扱われます。そのため、ペットだけを運ぶ事業は貨物運送に該当します。飼い主を一緒に乗せると法律上は旅客運送となるため、貨物事業では原則として飼い主の同乗はできません。例外として認められるのは、盲導犬の引率など社会通念上やむを得ない場合のみです(※2)。

この法的な区分けが、ペットタクシーのサービス形態を大きく二つに分ける理由となっています。

一般タクシーでのペット持ち込みルール

従来、一般的なタクシーでは動物全般が持ち込み禁止物とされてきました。しかし、令和2年の規則改正により、盲導犬などの身体障害者補助犬や小型のペットは持ち込み禁止の対象外となりました(※3)。つまり、小型の愛玩動物であれば、運転手の了承のもと通常のタクシーに同乗することが可能になっています。

ただし、他の乗客の迷惑や車内を汚損するおそれがある場合には、引き続き乗車拒否や制限が認められています(※3)。そのため、ペット専門のタクシーを利用する方が、飼い主にとってもペットにとっても安心できる選択肢といえるでしょう。

補助犬は別格の扱い

盲導犬、介助犬、聴導犬などの身体障害者補助犬は、一般のペットとは法的に異なる扱いを受けます。身体障害者補助犬法により、バスやタクシーなどすべての公共交通機関で補助犬の同伴受け入れが義務付けられています(※4)。正当な理由なく同伴を拒否することは禁止されており、ペットとは明確に区別されています。

【参考URL】 ※1 出典:国土交通省「法令適用事前確認手続 照会書」 https://www.mlit.go.jp/appli/content/001742195.pdf ※2 出典:国土交通省「パブリックコメント募集結果(軽貨物運送によるペット輸送)」 https://public-comment.e-gov.go.jp/pcm/download?seqNo=0000242731 ※3 出典:国土交通省「パブリックコメント募集結果(タクシー車内への動物持込み規制の改正)」 https://public-comment.e-gov.go.jp/pcm/download?seqNo=0000209695 ※4 出典:東京都福祉局「身体障害者補助犬法Q&A」https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/shougai/nichijo/hojo_dog/qa

ペットタクシーを利用すべき場面とメリット

ペットタクシーは、さまざまな場面で飼い主とペットの移動をサポートしてくれます。ここでは、ペットタクシーが特に活躍する代表的なシーンと、そのメリットについて詳しく見ていきましょう。

旅行やお出かけ

ペット同伴可の観光地や実家への訪問など、公共交通機関では行きづらい場所へも気軽に行けるのがペットタクシーの大きな魅力です。電車やバスでは小型ペット限定だったり、周囲への気遣いが必要だったりしますが、ペットタクシーなら他の乗客に気兼ねなくドアツードアで移動できます。

特に大型犬や複数のペットを飼っている場合、通常の交通手段では制約が多くなります。ペットタクシーの専用車であれば、快適に移動できる利点は非常に大きいといえるでしょう。旅行中もペットと一緒に過ごせることで、飼い主もペットもストレスなく楽しい時間を過ごせます。

動物病院への通院

高齢の飼い主や自家用車を持たない方にとって、重いペットケージを持って公共交通に乗るのは大変な負担です。ペットタクシーなら自宅から病院の玄関まで送迎してもらえるため、ペットへの負担も飼い主の負担も大幅に軽減できます。

また、ペットの体調が悪い緊急時でもすぐに駆けつけてもらえる安心感があります。自家用車を持たない飼い主がペットを動物病院に連れて行きたい場合、ペットタクシーは非常に頼りになる存在です。特に都市部では、こうしたニーズが高まっています。

引っ越し・長距離移動

遠方への転居や里帰り時、ペットを飛行機や新幹線で輸送する代わりに、陸路のペットタクシーで長距離輸送するケースもあります。航空貨物だと環境変化や気圧でペットに相当なストレスがかかりますが、陸送なら途中で休憩や様子確認が可能です。

実際、環境省の指針でも、動物を輸送した後は少なくとも2日間健康状態を観察するよう求められています(※5)。これは、長旅がペットに大きな負担となることを示しています。ペットタクシーであれば、車内環境をペット向けに整えつつ、適宜休憩しながら移動できるため、ペットの心身への負担を大きく軽減できます。

ペットタクシーの利点まとめ

これらのシーンに共通するメリットとして、次の3点が挙げられます。

まず、ドア・ツー・ドアで移動できる快適さです。自宅から目的地まで直接移動できるため、乗り換えの手間やペットを連れての移動が楽になります。

次に、公共交通ではNGな中型・大型ペットや複数のペットも輸送できる点です。通常の電車やバスでは対応が難しいケースでも、ペットタクシーなら安心して利用できます。

そして、他人に気を遣わず車内でペットを自由にできることです。ケージから出せる場合もあり、ペットにとっても飼い主にとってもストレスが少ない環境で移動できます。

特に地方ではペット同伴可の交通機関が少ないため、自宅と目的地を直行できるペットタクシーの存在価値は非常に大きいといえるでしょう。

【参考URL】 ※5 出典:環境省「改正動物愛護法対応ガイドライン」https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/r0305a/03_5.pdf

ペットタクシーの利用方法と安全に利用するポイント

ペットタクシーを安全・快適に利用するためには、いくつかのポイントを押さえておく必要があります。予約方法から当日の準備、万が一に備えた対策まで、詳しく解説していきます。

予約・問い合わせのコツ

ペットタクシーは事前予約制が一般的です。利用する際は、希望日時、行き先、ペットの種類やサイズを伝えて見積もりを取りましょう。

予約時に確認すべき重要な事項がいくつかあります。まず、輸送に使う車両の種類です。車の大きさやクレートの設置状況などを確認しておくと安心です。次に、対応可能なペットのサイズや頭数を聞いておきましょう。そして、料金体系も重要です。距離制か時間制か、深夜割増や待機料金の有無なども確認しておくことをおすすめします。

公式サイトや電話でこれらを確認し、必要に応じてペットの体調や性格も伝えておくと、より安心して利用できます。

適法業者か確認する

安全のため、依頼する業者が適切な許可や届出を取得済みであることを確認しましょう。

具体的には、飼い主が同乗しないペット輸送の場合、車両のナンバープレートが黒地に黄色文字、いわゆる黒ナンバーになっているかをチェックします(※6)。これは貨物軽自動車運送事業の届出を行っている証です。また、飼い主同乗可能なタイプなら、緑ナンバーのタクシー営業車で運行されます。

こうした表示で見分けられますし、業者のホームページなどにも「一般乗用旅客自動車運送事業許可」などの記載があるはずです。不明な場合は遠慮なく確認しましょう。無許可の白ナンバー車による有償輸送は違法であり、万が一事故が起きた場合の補償も不透明ですので注意が必要です。

ペットの体調・しつけ準備

利用当日までにペットの体調を整え、酔い止めや必要な薬があれば獣医に相談しておきます。環境省もケージに入る訓練や無駄吠えしないしつけの重要性を指摘しています(※7)。

車に慣らしておくことも大切です。ドライブ経験の少ないペットは、事前に短時間の車移動を試してストレス反応を確認しておくと良いでしょう。突然長時間の移動をすると、ペットが予想以上にストレスを感じることもあります。

安全対策とマナー

乗車中はペットをケージに入れるか、シートベルト対応のペット用ドライブボックスで確実に固定し、運転の妨げにならないようにします。運行中、ペットが不安そうな場合は声をかけて落ち着かせ、必要に応じてドライバーに依頼して適宜休憩を取りましょう。

長距離の場合、環境省の資料でも定期的に車外に出て動くことや、こまめに水分補給することが推奨されています(※7)。休憩時にはリードをつけて車外で気分転換させるとともに、脱走事故防止に細心の注意を払いましょう。

夏場はエアコン管理や停車時の換気にも気を配り、冬場はペットが寒くないよう毛布を用意するなど、季節に応じた対策も必要です。ペットの体温調節能力は人間とは異なるため、車内環境には特に注意が必要です。

万一に備えて

万が一の事故やトラブルに備え、事前にペット保険や運送保険の適用範囲を確認しておきましょう。業者側で加入している貨物保険や賠償保険があるか、契約約款でペットの怪我や死亡時の対応がどうなっているかチェックすることが大切です。国土交通省標準約款に準じている業者が多いはずですが、念のため確認しておくと安心です。

また、長距離移動では途中で宿泊が必要になるケースもあります。その際、ペットと泊まれる宿の手配や、夜間の緊急動物病院情報を押さえておくとさらに安心です。事前の準備が、いざというときの対応をスムーズにします。

【参考URL】 ※6 出典:軽自動車の黒ナンバーとは https://keinomori.com/topics/trivia/kuro_number/ ※7 出典:環境省「ペットも守ろう!防災対策パンフレット」https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/h2909a/pdf/full.pdf

まとめ:ペットタクシーで広がる安心お出かけ&関連サービス情報

ペットタクシーは、愛犬や愛猫との移動をより安全で快適にしてくれる頼もしいサービスです。旅行や通院、引っ越しなど、これまで諦めていたシーンでも、ペットと一緒に行動できる可能性が広がります。

記事のポイントを振り返る

本記事では、ペットタクシーの定義と仕組み、利用するメリット、安心安全に使うコツを詳しく解説してきました。ペットの安全を第一に考えた移動手段があることで、飼い主の行動範囲は大きく広がります。

法規制についても理解しておくことで、適法な業者を選び、安心してサービスを利用できます。適切な許可を持つ業者を選ぶこと、ペットの体調管理やしつけを事前に行うこと、万が一に備えた保険の確認をすることなど、いくつかのポイントを押さえておけば、ペットタクシーは非常に便利で安全な移動手段となります。

今後の展望

ペットの高齢化や多様化するニーズに対応し、ペットタクシーサービスは今後さらに全国的に充実していく可能性があります(※8)。高齢化社会で飼い主も高齢化している中、ペットとより多くの場所へ足を運べる手段として、ペットタクシーの重要性はますます高まっていくでしょう。

その際、行政によるガイドライン整備や業界団体の品質向上も進んでいくと考えられます。飼い主側もマナーを守りつつ、安心安全なペット移動を社会全体で支えていく姿勢が求められます。

ドライバーという選択肢

この記事を読んで、ペットタクシーに興味を持った方や、自分もペットに関わる仕事をしたいと感じた方もいるかもしれません。実は、ペットタクシーを含むドライバー職への転職を支援するサービス『GOジョブ』があります。

『GOジョブ』はタクシー配車アプリで知られる『GO』グループが運営しており、業界に精通したキャリアアドバイザーが相談から応募まで丁寧にサポートしてくれるのが特長です。ペット好きで運転も好きな方は、ペットタクシーのドライバーという新たなキャリアを『GOジョブ』で探してみるのも良いでしょう。需要が高まる分野なだけに、好きなことを仕事にできるチャンスが広がっています。

読者の皆様へ

ペットタクシーを上手に活用して、愛犬・愛猫との行動範囲をどんどん広げてください。ペットとの移動時間も快適に、そして将来はその支える側としてドライバーとして活躍する道もあります。ペットと人が共に安心して移動できる社会を、一緒に作っていきましょう。

【参考URL】 ※8 出典:国土交通省「法令適用事前確認手続 照会書」 https://www.mlit.go.jp/appli/content/001742195.pdf