最終更新日:2025年12月15日

訪日外国人観光客の増加に伴い、タクシー運転手にも英語対応が求められる場面が増えています。英語が苦手でも、基本的なフレーズを覚えておくだけで、外国人乗客とのコミュニケーションはぐっとスムーズになります。この記事では、タクシー運転手が知っておきたい英語の基本表現から、実際の業務で使える実践的なフレーズ、効果的な勉強法まで、幅広くご紹介します。
日本を訪れる外国人観光客の数は年々増加しており、2019年には過去最高の3,188万人を記録しました(※1)。新型コロナウイルス感染症の影響で一時的に減少したものの、2023年以降は再び増加傾向にあり、観光立国を目指す日本政府は2030年までに訪日外国人旅行者数6,000万人という目標を掲げています(※2)。
このような状況の中、空港や主要観光地、ビジネス街などでタクシーを利用する外国人乗客も急増しています。特に東京、大阪、京都などの大都市圏では、日常的に外国人乗客と接する機会が増えており、英語でのコミュニケーション能力が実務上の必須スキルとなりつつあります。
国土交通省は、訪日外国人旅行者の受入環境整備の一環として、タクシー事業者に対する多言語対応の推進を図っています(※3)。具体的には、英語をはじめとする外国語対応が可能なタクシー車両の増加や、運転手への語学研修の実施などが推奨されています。
また、東京オリンピック・パラリンピック開催を契機に、多くのタクシー事業者が英語対応強化に取り組んできました。現在では、大手タクシー会社を中心に、英語研修プログラムの導入や、翻訳アプリ・多言語対応タブレットの車両への配備など、様々な取り組みが進められています。
『GO』などの配車アプリでも、外国語対応可能な車両を優先的に配車する機能が導入されるなど、テクノロジーを活用した対応も広がっています。
【参考URL】 ※1 出典:日本政府観光局(JNTO)「訪日外客数の動向」 https://www.jnto.go.jp/statistics/data/visitors-statistics/ ※2 出典:観光庁「明日の日本を支える観光ビジョン」 https://www.mlit.go.jp/kankocho/topics01_000205.html ※3 出典:国土交通省「訪日外国人旅行者の受入環境整備」 https://www.mlit.go.jp/kankocho/shisaku/kokusai/ukeire.html
外国人乗客が乗車された際、最初の挨拶は非常に重要です。明るく丁寧な対応で、乗客に安心感を与えることができます。
「Good morning / Good afternoon / Good evening(おはようございます/こんにちは/こんばんは)」という時間帯に応じた挨拶から始めましょう。続けて「Welcome to my taxi(私のタクシーへようこそ)」や「How are you today?(今日はいかがですか?)」と声をかけると、親しみやすい雰囲気を作ることができます。
乗車後は「Where would you like to go?(どちらまで行かれますか?)」と目的地を確認します。もし聞き取れなかった場合は、「Could you say that again, please?(もう一度おっしゃっていただけますか?)」や「Could you speak more slowly, please?(もう少しゆっくり話していただけますか?)」と丁寧に聞き返しましょう。
目的地が分かったら「Certainly(かしこまりました)」や「No problem(問題ありません)」と応答し、「It will take about 20 minutes(約20分かかります)」のように所要時間の目安を伝えると親切です。
目的地への経路について説明する際にも、いくつかの基本フレーズを覚えておくと便利です。
「I'll take the fastest route(最短ルートで行きます)」や「I'll avoid the highway due to traffic(渋滞のため高速道路を避けます)」など、選択した経路の理由を簡潔に説明できると、乗客は安心します。
「We'll arrive in about 10 minutes(あと約10分で到着します)」のように残り時間を伝えたり、「We're almost there(もうすぐ到着します)」と声をかけたりすることも大切です。
もし道に迷ってしまった場合は、「I'm sorry, I need to check the map(申し訳ございません、地図を確認させてください)」と正直に伝え、「Could you show me the address on your phone?(お電話で住所を見せていただけますか?)」とお願いするのも一つの方法です。
到着時の料金説明は、トラブルを避けるためにも明確に行う必要があります。
「The fare is 3,000 yen(料金は3,000円です)」とはっきり金額を伝えましょう。高速道路料金が含まれる場合は「This includes the highway toll(これには高速料金が含まれています)」と説明を加えます。
支払い方法については「Cash or card?(現金ですか、カードですか?)」と確認し、カード払いの場合は「Please insert your card here(ここにカードを入れてください)」や「Please tap your card here(ここにカードをタッチしてください)」と案内します。
『GO』などの配車アプリを利用している場合は「The payment has been processed through the app(アプリで決済済みです)」と伝えることもあります。
お釣りを渡す際は「Here's your change(お釣りです)」、領収書を渡す際は「Here's your receipt(領収書です)」と一言添えると丁寧です。
予期せぬトラブルや緊急時にも、落ち着いて対応できる英語表現を知っておくことが重要です。
渋滞に巻き込まれた場合は「I'm sorry, we're stuck in traffic(申し訳ございません、渋滞に巻き込まれています)」と説明し、「It may take longer than expected(予想より時間がかかるかもしれません)」と伝えます。
道路工事などで迂回が必要な場合は「There's road construction ahead. I need to take a detour(前方で道路工事があります。迂回する必要があります)」と状況を説明しましょう。
乗客が体調を崩された場合は「Are you okay?(大丈夫ですか?)」と声をかけ、「Do you need a hospital?(病院が必要ですか?)」や「Should I call an ambulance?(救急車を呼びましょうか?)」と確認します。
忘れ物があった場合は「Did you forget something?(何か忘れ物はありませんか?)」や「Please check if you have all your belongings(お忘れ物がないかご確認ください)」と声をかけることも大切です。
空港からの乗客は、大きな荷物を持っていることが多く、疲れていることもあります。丁寧な対応を心がけましょう。
乗車時には「Welcome to Tokyo(東京へようこそ)」と歓迎の言葉をかけ、「Let me help you with your luggage(お荷物をお手伝いします)」と荷物の積み込みを手伝います。
目的地を確認する際は「Which hotel are you going to?(どちらのホテルへ行かれますか?)」や「Do you have the address?(住所をお持ちですか?)」と尋ねます。初めて日本を訪れた乗客には「Is this your first time in Japan?(日本は初めてですか?)」と声をかけると、会話のきっかけになります。
車内では「The weather is nice today(今日は良い天気ですね)」のような軽い会話や、「That's Tokyo Tower on the left(左に見えるのが東京タワーです)」といった観光案内をすると喜ばれることがあります。ただし、疲れている様子の乗客には無理に話しかけず、静かに運転することも大切です。
観光客を観光地へお連れする際は、その場所についての簡単な情報提供ができると、乗客の満足度が高まります。
例えば浅草へ向かう場合は「Senso-ji Temple is one of Tokyo's oldest temples(浅草寺は東京で最も古い寺院の一つです)」のように説明したり、「It gets very crowded on weekends(週末は非常に混雑します)」といった実用的な情報を伝えたりすることができます。
写真撮影スポットを教えてあげるのも親切です。「That's a good spot for taking photos(そこは写真を撮るのに良い場所です)」や「You can see Mt. Fuji from here on clear days(晴れた日はここから富士山が見えます)」といった情報は、観光客にとって価値があります。
降車時には「Enjoy your sightseeing(観光を楽しんでください)」や「Have a great time(良い時間をお過ごしください)」と声をかけると、気持ちよく送り出すことができます。
ビジネス目的の乗客は時間に厳しいことが多く、効率的でプロフェッショナルな対応が求められます。
急いでいる様子の乗客には「I'll take the fastest route(最速ルートで行きます)」と伝え、「We should arrive by 9:00 AM(午前9時までに到着する予定です)」のように具体的な到着時刻を伝えると安心してもらえます。
会議に遅れそうな場合は「I'm sorry, but we might be a few minutes late due to traffic(申し訳ございませんが、渋滞で数分遅れるかもしれません)」と早めに伝え、「Would you like me to contact your office?(オフィスに連絡しましょうか?)」と提案することもできます。
車内で仕事をしている乗客には、静かな環境を保ち、不要な会話を避けることが大切です。到着時には「We've arrived(到着しました)」と簡潔に伝えましょう。
グループでの乗車は、個人客とは異なる対応が必要です。
乗車時には「Please fasten your seatbelts(シートベルトをお締めください)」と全員に声をかけ、荷物が多い場合は「I can put some luggage in the trunk(トランクに荷物を入れることができます)」と提案します。
目的地が複数ある場合は「Where would you like to go first?(最初にどこへ行きますか?)」と確認し、「I'll take you to the first location, then the second(最初の場所、それから2番目の場所へお連れします)」と順序を明確にします。
降車が分かれる場合は「Who will get off here?(ここで降りるのはどなたですか?)」と確認し、料金分担については「How would you like to split the fare?(料金をどのように分けますか?)」と尋ねることもあります。
言葉が通じなくても、ジェスチャーやボディランゲージを使うことで、多くのことを伝えられます。
目的地を確認する際は、地図を指差したり、スマートフォンの画面を見せてもらったりすることで、言葉の壁を越えることができます。「Here?(ここですか?)」と指を指しながら確認するだけでも十分です。
料金を伝える際は、計算機やメーターを指差しながら数字を見せる方法が効果的です。また、荷物を積むときには、トランクを指差して「OK?(よろしいですか?)」と確認するだけで意思疎通が図れます。
笑顔と丁寧な態度は、どの言語にも共通する最も重要なコミュニケーション手段です。言葉が通じなくても、親切な態度で接することで、乗客に安心感を与えることができます。
現代では、スマートフォンの翻訳アプリを活用することで、言語の壁を大きく下げることができます。
Google翻訳やDeepLなどの無料翻訳アプリは、音声入力や会話モードを備えており、リアルタイムでの意思疎通を支援してくれます。事前にアプリをダウンロードし、基本的な使い方を練習しておくと、いざというときに慌てずに済みます。
一部のタクシー会社では、多言語対応タブレットを車両に配備しています。これらのデバイスには、よく使うフレーズが複数の言語で登録されており、タップするだけで音声案内ができる仕組みになっています。
『GO』などの配車アプリでは、アプリ内で目的地を設定できるため、言葉での説明が不要になります。また、決済もアプリ経由で行えるため、料金に関するコミュニケーションの負担も軽減されます。
アナログな方法ですが、指差し会話帳やフレーズカードは、スマートフォンのバッテリー切れなどの心配がなく、確実に使えるツールです。
市販の指差し会話帳は、様々な場面で使える表現がイラスト付きで掲載されており、該当するフレーズを指差すだけで意思疎通が図れます。タクシー業務に特化した内容のものを選ぶと、より実用的です。
自作のフレーズカードを作成するのもおすすめです。よく使う表現を日本語と英語で書いたカードを何枚か用意しておき、必要に応じて提示する方法です。ラミネート加工しておけば、長期間使用できます。
また、主要な観光地や駅の名前を英語で書いたリストを用意しておくと、目的地の確認がスムーズになります。地図と組み合わせて使用すると、さらに効果的です。
英語を聞き取れなかった時に、どう対応するかも重要なスキルです。
まず、聞き返すことを恐れないことが大切です。「I'm sorry, could you repeat that?(申し訳ございません、もう一度おっしゃっていただけますか?)」や「Pardon?(何とおっしゃいましたか?)」と丁寧に尋ねましょう。多くの外国人乗客は、日本人が英語を母語としないことを理解しており、ゆっくり話してくれることが多いです。
それでも分からない場合は「Could you write it down?(書いていただけますか?)」と紙とペンを渡して書いてもらう方法があります。スマートフォンに入力してもらうのも良い方法です。
視覚的な情報を活用することも有効です。「Could you show me on the map?(地図で示していただけますか?)」や「Do you have a photo of the place?(その場所の写真をお持ちですか?)」と尋ねることで、理解が深まります。
最終手段として、翻訳アプリを使用したり、英語が得意な同僚や営業所に電話でサポートを依頼したりする方法もあります。大切なのは、分からないまま進めずに、確実に意思疎通を図る姿勢です。
英語学習の第一歩は、業務で頻繁に使う基本フレーズを確実に覚えることです。
まず、乗車時の挨拶、目的地の確認、料金の説明、降車時のお見送りなど、必ず使う20〜30個のフレーズをリストアップしましょう。これらを優先的に暗記することで、基本的な対応ができるようになります。
暗記する際は、何度も声に出して練習することが重要です。車の中で一人で練習したり、家族や同僚を相手に練習したりすることで、実際の場面でスムーズに言葉が出てくるようになります。
フレーズは単語単位ではなく、文章全体を一つのまとまりとして覚えるのがコツです。例えば「Where would you like to go?」を「Where / would / you / like / to / go」と分けて覚えるのではなく、「Where would you like to go?」という一つの音のかたまりとして覚えると、自然に発音できるようになります。
通勤時間や休憩時間を利用して、毎日少しずつ練習を続けることが大切です。一日10分でも継続することで、確実に身につけることができます。
現代では、様々なオンライン学習ツールやアプリを利用して、効率的に英語を学習することができます。
Duolingoやmikanなどの無料英語学習アプリは、ゲーム感覚で楽しく学習できる設計になっており、通勤時間などのスキマ時間を有効活用できます。毎日少しずつ続けることで、基礎的な英語力を向上させることができます。
YouTubeには、タクシー運転手向けの英会話レッスン動画も多数公開されています。実際の場面を想定したロールプレイ動画を見ることで、具体的な対応方法をイメージしやすくなります。
また、ポッドキャストで英語のリスニング練習をするのも効果的です。最初は日本人向けの初心者用ポッドキャストから始め、徐々にレベルを上げていくと良いでしょう。
オンライン英会話サービスを利用すれば、実際にネイティブスピーカーと会話する練習ができます。月額数千円から利用できるサービスも多く、自分のペースで学習を進められます。
実際の業務場面を想定したロールプレイは、最も効果的な練習方法の一つです。
同僚や家族に外国人乗客役をお願いして、実際の業務フローに沿って英語で対応する練習をしましょう。乗車時の挨拶から、目的地の確認、道中の会話、料金の説明、降車時のお見送りまで、一連の流れを通して練習することで、実践的なスキルが身につきます。
様々なシチュエーションを想定して練習することも大切です。急いでいる乗客、道に詳しくない観光客、複数人のグループなど、異なる状況での対応を練習しておくと、実際の場面で慌てずに対応できます。
可能であれば、実際に外国人の知人やSNSで知り合った外国人に協力してもらい、よりリアルな練習をするのも効果的です。実際の外国人と話すことで、聞き取りの難しさや発音の癖などを体感できます。
録音して自分の発音を確認することもおすすめです。スマートフォンで自分の英語を録音し、聞き返すことで、発音の改善点が見えてきます。
英語学習で最も重要なのは、継続することです。短期間で完璧を目指すのではなく、長期的に少しずつレベルアップしていく姿勢が大切です。
具体的な学習目標を設定しましょう。「3ヶ月後には基本的な挨拶と目的地確認ができるようになる」「半年後には簡単な会話ができるようになる」といった明確な目標があると、モチベーションを維持しやすくなります。
学習時間を生活の中に組み込むことも重要です。「朝の通勤時に10分間アプリで学習する」「昼休みに5分間フレーズを復習する」など、具体的なタイミングを決めておくと、習慣化しやすくなります。
学習記録をつけることもモチベーション維持に役立ちます。カレンダーに学習した日をチェックしたり、学習時間を記録したりすることで、自分の努力が可視化され、継続する意欲が高まります。
完璧主義にならないことも大切です。ミスを恐れずに、実際の業務で積極的に英語を使ってみましょう。失敗から学ぶことも多く、実践を通じて自然と上達していきます。
同じ目標を持つ仲間と一緒に学習するのも効果的です。同僚と勉強会を開いたり、進捗を報告し合ったりすることで、互いに刺激を受けながら継続できます。
多くの大手タクシー会社では、訪日外国人旅行者の増加に対応するため、様々な英語対応サービスを導入しています(※4)。
一部の事業者では、英語対応が可能なドライバーを育成するための研修プログラムを実施しており、基本的な英会話から、接客マナー、文化的な配慮まで、総合的な教育を行っています。研修を修了したドライバーには認定証が発行され、車両に英語対応可能マークが表示されます。
また、多言語対応タブレット端末を全車両に配備している会社もあります。このタブレットには、よく使うフレーズが複数言語で登録されており、画面をタップするだけで音声案内ができる仕組みになっています。観光案内や緊急時の対応など、幅広い場面で活用されています。
『GO』をはじめとする配車アプリの導入も進んでおり、アプリ上で目的地設定や決済ができるため、言語の壁を感じずにサービスを利用できる環境が整いつつあります。
国土交通省は、訪日外国人旅行者の受入環境整備の一環として、外国語対応可能なタクシー運転手の育成を推進しています(※5)。
一部の地域では、外国語対応ドライバー認定制度が設けられており、一定の語学力と接客スキルを持つドライバーに認定証を発行しています。認定を受けたドライバーは、車両に専用のステッカーを貼ることができ、外国人乗客から選ばれやすくなります。
この制度では、英語だけでなく、中国語、韓国語など、複数の言語に対応しているドライバーもいます。特に、中国や韓国からの観光客が多い地域では、これらの言語対応が重視されています。
認定を受けるためには、所定の研修を受講したり、語学試験に合格したりする必要があります。多くの事業者では、研修費用の補助や、認定取得者への手当支給など、ドライバーの語学学習を支援する制度を設けています。
外国人観光客向けの特別なサービスとして、観光タクシーや通訳サービスを提供している事業者もあります。
観光タクシーは、単なる移動手段ではなく、ガイド付きの観光サービスとして提供されます。英語が堪能なドライバーが、主要な観光スポットを巡りながら、その場所の歴史や文化について説明します。半日コースや一日コースなど、様々なプランが用意されています。
一部の高級タクシーサービスでは、通訳資格を持つドライバーや、通訳者が同乗するサービスも提供されています。ビジネス目的の乗客や、複雑な案内が必要な場合に利用されることが多いです。
これらのサービスは、通常のタクシー料金よりも高額になりますが、言語の心配なく快適に移動できるため、一定の需要があります。特に富裕層の観光客や、短期間で効率的に観光したい旅行者に人気です。
『GO』などの配車アプリは、言語の壁を越えるための強力なツールとなっています。
これらのアプリは、英語をはじめとする複数の言語に対応しており、外国人旅行者でも簡単に操作できます。アプリ上で目的地を地図から選択したり、住所を入力したりできるため、言葉で説明する必要がありません。
決済もアプリ内で完結するため、料金に関するコミュニケーションも不要です。クレジットカードやデジタルウォレットと連携しており、現金を持っていない外国人旅行者でも安心して利用できます。
配車時には、英語対応可能な車両を優先的に配車する機能もあり、外国人乗客とドライバーの双方にとって安心できるマッチングが実現されています。
また、一部のアプリでは、乗車後にドライバーと乗客がテキストメッセージでやり取りできる機能も搭載されており、細かい指示や要望を翻訳機能を使って伝えることができます。
【参考URL】 ※4 出典:国土交通省「タクシー事業者による訪日外国人旅行者受入の取組」 https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_tk3_000099.html ※5 出典:国土交通省「外国人旅行者受入加算制度について」 https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_tk3_000100.html
結論から言えば、英語が全く話せなくてもタクシー運転手として働くことは可能です。実際、多くの現役ドライバーが、限られた英語力でも工夫しながら外国人乗客に対応しています。
ただし、訪日外国人観光客が増加している現在、英語での基本的なコミュニケーション能力があると、業務の幅が広がり、乗客満足度も向上します。完璧な英語力は必要ありませんが、挨拶や簡単な道案内ができる程度の英語を身につけておくと、より自信を持って業務に臨めます。
前述のように、翻訳アプリやジェスチャー、指差し会話帳などのツールを活用することで、英語が苦手でも十分に対応できます。また、配車アプリを利用すれば、言語の壁を大きく下げることができます。
大切なのは、言葉が通じなくても、親切で丁寧な態度で接することです。笑顔と誠実な対応は、どの言語にも共通する最高のコミュニケーション手段です。
タクシー運転手に求められる英語力は、日常会話レベルではなく、業務に特化した実践的なレベルです。英検やTOEICなどの資格試験で高得点を取る必要はありません。
具体的には、以下のような内容が理解でき、話せることが理想です:
挨拶と基本的な応答(「おはようございます」「ありがとうございます」など)、目的地の確認(「どこへ行きますか?」「この住所ですか?」など)、所要時間や料金の説明(「約20分かかります」「料金は3,000円です」など)、簡単な道案内(「もうすぐ着きます」「右に曲がります」など)、支払い方法の確認(「現金ですか、カードですか?」など)。
中学校レベルの基礎的な英語力があれば、これらの表現は十分に習得可能です。重要なのは、難しい単語や複雑な文法を使うことではなく、シンプルで明確な表現を使って、確実に意思疎通を図ることです。
最初は完璧を目指さず、よく使う20〜30個のフレーズを確実に覚えることから始めましょう。実際の業務で使いながら、徐々にレパートリーを増やしていく方法が効果的です。
日本を訪れる外国人観光客の中には、英語圏以外からの旅行者も多く含まれています。特に中国、韓国、台湾などのアジア諸国からの観光客が増加しているため(※6)、これらの言語に対応できると、さらに幅広い乗客にサービスを提供できます。
ただし、多くの非英語圏の旅行者も、基本的な英語でコミュニケーションを取ることができます。英語は国際的な共通言語として広く使われているため、まずは英語での対応を優先的に学ぶことをおすすめします。
英語での対応に自信がついたら、必要に応じて他の言語の基本フレーズを学ぶのも良いでしょう。特に、自分が担当する地域に特定の国からの観光客が多い場合は、その言語の簡単な挨拶や基本表現を覚えておくと喜ばれます。
多言語対応タブレットや翻訳アプリは、英語以外の言語にも対応しているため、これらのツールを活用することで、言語の壁を越えることができます。
完璧に多言語を習得する必要はありません。基本的な英語力と、テクノロジーの活用、そして誠実な対応の組み合わせで、多様な国籍の乗客に満足してもらえるサービスを提供できます。
年齢に関係なく、英語学習は十分に可能です。実際、多くのベテランドライバーが、定年後や転職後に英語学習を始めて、外国人乗客への対応スキルを向上させています。
確かに若い頃に比べて記憶力や聞き取り能力が衰えることはありますが、人生経験豊富な年配の方には、別の強みがあります。長年の接客経験で培った観察力やコミュニケーション能力は、言葉の壁を越えるための大きな武器になります。
年齢を重ねてからの学習では、以下のような工夫が効果的です:
無理のないペースで学習することです。一日10分でも、毎日継続することが大切です。焦らず、自分のペースで進めましょう。
実用的な内容に絞ることです。すべての英語を学ぼうとせず、タクシー業務で使う表現だけに集中すれば、短期間で実践的なスキルが身につきます。
繰り返し練習することです。若い頃より記憶に時間がかかるかもしれませんが、何度も反復することで確実に定着します。
恥ずかしがらずに使ってみることです。完璧でなくても、実際に使ってみることが最も効果的な学習方法です。
テクノロジーを活用することです。翻訳アプリや音声認識機能を使えば、英語力を補うことができます。
多くの自治体やタクシー会社では、年齢に関係なく参加できる英語研修プログラムを実施しています。同世代の仲間と一緒に学ぶことで、モチベーションを保ちやすくなります。
年齢は学習の障害ではありません。むしろ、豊富な人生経験と接客スキルを活かしながら、新しいスキルを身につけることで、さらに価値の高いサービスを提供できるようになります。
【参考URL】 ※6 出典:日本政府観光局(JNTO)「訪日外客数(国籍/月別)」 https://www.jnto.go.jp/statistics/data/visitors-statistics/by-country/
訪日外国人観光客の増加に伴い、タクシー運転手にとって英語対応能力は、今後ますます重要なスキルとなっていきます。完璧な英語力は必要ありませんが、基本的なフレーズを覚え、ツールを活用し、誠実な態度で接することで、外国人乗客に満足してもらえるサービスを提供できます。
この記事でご紹介した基本フレーズや勉強法を参考に、まずは簡単な挨拶と目的地確認から始めてみてください。毎日少しずつ練習を続けることで、自然と英語での対応に自信が持てるようになります。
また、翻訳アプリや指差し会話帳などのツールを積極的に活用し、言葉の壁を恐れずにチャレンジする姿勢が大切です。失敗を恐れず、実践を通じて学んでいきましょう。
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