個人タクシーは本当に高い?収入・運賃・開業条件の実態を徹底解説

最終更新日:2025年12月04日

個人タクシーは本当に高い?収入・運賃・開業条件の実態を徹底解説

正社員ドライバーとして働く中で「個人タクシーは高い」と聞いたことはありませんか?運賃が高いのか、収入が高いのか、それとも開業のハードルが高いのか。本記事では、個人タクシーにまつわる様々な「高い」の真相を公的データに基づいて紐解きます。法人タクシーとの違いや収入の実態、開業するための条件まで、転職を検討中のドライバー必見の内容です。

個人タクシーとは?法人タクシーとの違い

個人タクシーは、道路運送法に基づく一般乗用旅客自動車運送事業の一形態で、事業許可を受けた本人のみが1台のタクシーを運転して営業する事業です(※1)。他のドライバーを雇わず、一人一車で営業する点が最大の特徴といえます。

一方、法人タクシーはタクシー会社として複数台の車両と複数の運転手を抱えて営業し、会社が配車や運行管理を一括して行います。個人タクシーは配車・営業・経理まですべて自己責任で行うため、自由度が高い反面、自己管理能力が求められる働き方です。

全国における個人タクシー車両数は約2万6千台で、法人タクシー車両数の約17万台と比べると少数派です。経験豊富なベテランドライバーが独立開業しているケースが多く、平均年齢層も高めの傾向にあります。

個人タクシーと法人タクシーの主な違い ・運営形態:個人タクシーは個人事業主、法人タクシーは会社組織 ・車両数:個人タクシーは1台、法人タクシーは複数台 ・雇用形態:個人タクシーは事業主本人のみ、法人タクシーは運転手を雇用 ・営業管理:個人タクシーはすべて自己管理、法人タクシーは会社が一括管理 ・収入構造:個人タクシーは売上から経費を差し引いた額、法人タクシーは歩合給または固定給プラス歩合 ・福利厚生:個人タクシーは自己負担、法人タクシーは会社が提供

【参考URL】 ※1 出典:国土交通省 北陸信越運輸局「個人タクシー事業の申請に対する審査基準」 https://wwwtb.mlit.go.jp/hokushin/content/000325226.pdf

個人タクシーの運賃は高い?料金制度の仕組み

タクシーの運賃は、地域ごとに定められた範囲内で事業者が設定し、国土交通大臣の認可または届出を受ける仕組みになっています(※2)。個人タクシーだからといって独自に運賃を自由設定できるわけではなく、法人タクシーと同じ区域運賃制度に従います。

運賃は需給や原価を考慮して、地域の運輸局長が運賃適用地域ごとに上限・下限を定めた運賃幅を設定します(※2)。例えば特定地域では公定幅運賃制度が導入され、各事業者はその範囲内で運賃を届け出ます。上限を超える運賃設定は認められません。

地域による運賃水準の差も存在します。都市部ほど初乗り距離が短く料金単価が高めで、地方ほど初乗り距離が長く単価が低い傾向があります。例えば東京都特別区では初乗り約1キロメートルで500円前後、地方都市では初乗り距離が2キロメートル以上で500円から600円台になるなど、地域ごとに運賃体系が異なります。

運賃制度のポイント ・個人タクシーも法人タクシーも同じ区域運賃制度に従う ・運賃は国土交通大臣の認可または届出が必要 ・地域ごとに運賃の上限、下限が定められている ・都市部は初乗り距離が短く単価が高め、地方は初乗り距離が長く単価が低め ・公定幅運賃制度により、事業者は定められた範囲内でしか運賃を設定できない

【参考URL】 ※2 出典:一般社団法人全国ハイヤー・タクシー連合会「地域別タクシー運賃表」 https://taxi-japan.or.jp/fare-pricing/fare-list/

個人タクシーの収入は高い?年収・給与の実態

タクシードライバー全体の平均年収は約419万円で、前年から16パーセントの大幅増加となりました(※3)。コロナ禍からの需要回復に伴い、業界全体の収入水準が改善しており、タクシー運転者の年間給与は日本の全産業平均である約507万円との差が縮まりつつあります。

もっとも、上記の平均年収は法人タクシー会社に勤務するドライバーを含む数値です。個人タクシーの場合、運賃収入がそのまま事業主の売上となる反面、燃料費・整備費など営業経費は自己負担となるため、可処分所得は売上から経費を差し引いた額になります。営業努力次第では高収入も可能ですが、収入が安定しにくい点に留意が必要です。

法人タクシーの給与体系は多くが歩合給、いわゆるインセンティブ制で、売上に応じて一定割合が給与となります。個人タクシーは会社に歩合を取られることはありませんが、社会保険や福利厚生も自身で確保する必要があります。一方、法人所属ドライバーは会社による社会保険加入や最低保障給制度がある場合もあり、安定性の面では違いが生じます。 収入構造の比較 ・法人タクシードライバー:売上の一定割合が給与として支給され、社会保険や福利厚生は会社が負担 ・個人タクシー事業主:売上がそのまま収入となるが、経費・税金 ・社会保険はすべて自己負担 ・法人ドライバーは固定給や最低保障給がある場合もあり、収入の安定性が高い ・個人タクシーは営業次第で高収入を狙えるが、売上が低い時期は収入も減少する

【参考URL】 ※3 出典:一般社団法人全国ハイヤー・タクシー連合会「タクシー運転者の賃金・労働時間の現況」 https://taxi-japan.or.jp/zius/wp-content/uploads/2025/07/tinginR5.pdf

個人タクシー開業のハードルは高い?必要な資格・要件

個人タクシーの営業許可取得には、厳格な資格要件があります。原則として申請時に65歳未満であること、第二種運転免許、普通二種以上を保有していることが基本条件です。さらに長年にわたる無事故・無違反の運転経歴が求められます(※4)。

豊富な運転職歴が必要です。例えば35歳未満で申請する場合、申請地域で10年以上連続してタクシーまたはハイヤー運転者として雇用されていること、かつ直近10年間無事故・無違反であることなど、非常に高いハードルが設定されています(※4)。35歳以上65歳未満でも、過去25年のうち通算10年以上を職業ドライバーとして従事し、申請直近数年間に該当区域でタクシー乗務経験があることなどの要件を満たす必要があります。

筆記試験の合格も義務付けられています。個人タクシー許可申請者は、国土交通省が実施する法令に関する試験に合格しなければなりません。あわせて独立行政法人自動車事故対策機構などでの運転適性診断や、指定医療機関での健康診断を受け、適性に問題がないことを証明する必要があります。

開業資金や車両の準備も重要です。営業用車両、いわゆる緑ナンバー車を自ら用意しなければならず、車庫や営業所の確保、保険加入、開業費用の資金計画なども求められます。事業用自動車の使用権原を有していることや、タクシーメーター・無線設備の設置など、開業前のハードルは総合的に高いといえます。

なお、過去に個人タクシー事業許可を受けていた者が事故歴などで許可取消となってから一定期間は再申請できないなど、欠格事由も定められています。

年齢区分ごとの必要運転経歴 ・35歳未満:申請地域で10年以上連続してタクシーまたはハイヤー運転者として雇用されていること、かつ直近10年間無事故・無違反 ・35歳以上65歳未満:過去25年のうち通算10年以上を職業ドライバーとして従事し、申請直近数年間に該当区域でタクシー乗務経験があること

開業までのステップ 1.第二種運転免許の取得 2.法人タクシー会社での乗務経験を積む 3.無事故・無違反の運転経歴を維持する 4.国土交通省の筆記試験に合格する 5.運転適性診断と健康診断を受ける 6.営業用車両と車庫を確保する 7.開業資金を準備する 8.事業許可申請を行う 【参考URL】 ※4 出典:国土交通省 北陸信越運輸局「個人タクシー事業の申請に対する審査基準」 https://wwwtb.mlit.go.jp/hokushin/content/000325226.pdf

個人タクシーのメリット・デメリット

個人タクシーには、法人タクシーにはない独自のメリットとデメリットがあります。ここでは、それぞれの特徴を整理していきます。

メリット

働き方の自由度 勤務時間や休日を自分で決められます。会社のシフトに縛られないため、体調やライフスタイルに合わせた柔軟な働き方が可能です。

営業次第で高収入も可能 売上がすべて自分の収入になるため、顧客を獲得して長距離や定期契約を取れば、法人ドライバー以上の収入を得るチャンスもあります。ただし、その反面リスクも自分で負う点に注意が必要です。

定年がない 個人事業主のため定年制限がなく、健康であれば高齢になっても続けられます。実際、タクシー運転者は65歳以上の割合が他業種より高く(※5)、経験豊富なドライバーが長く活躍できる業界です。年金受給後も収入を得たい人にとって魅力といえます。

顧客との信頼関係 個人タクシーならではのきめ細かいサービスで固定客を掴みやすく、自分の裁量でサービス向上策を実践できます。顧客から名前で指名されるような信頼関係を築けば、安定収入にもつながります。

デメリット

収入の不安定さ 営業成績が収入に直結するため、乗客が少ない日や不況時には収入が大きく減少します。固定給がないため、売上がゼロの日もあり得るリスクを常に伴います。

経費・福利厚生の自己負担 車両購入費、燃料代、整備費、車検、任意保険、税金などすべて自分で負担する必要があります。会社員時代には会社が負担・提供していた社会保険や福利厚生も、自身で加入・備える必要があります。

すべて自己管理 営業戦略の立案から集客、体調管理まで一人でこなさなければなりません。病気やケガで運転できない場合、代わりに収入を得てくれる人がいないため収入が途絶えます。基本的に自分不在時は稼働できません。

事務作業の負担 売上管理や確定申告などの事務処理も自己対応が必要です。特に税務上は青色申告の帳簿付けや減価償却の計算など専門知識が求められ、経理負担が発生します。経営者としての側面も担う点を理解しておく必要があります。

【参考URL】 ※5 出典:一般社団法人全国ハイヤー・タクシー連合会「ハイヤー・タクシー業における高齢者雇用推進に向けたガイドライン」(2025年9月) https://taxi-japan.or.jp/zius/wp-content/uploads/2025/07/TaxiKatsuyakuGuideline.pdf

まとめ:ドライバーのキャリアアップは『GOジョブ』で

ここまで、個人タクシーの運賃制度や収入の実態、開業要件、メリット・デメリットについて詳しく見てきました。個人タクシーは運賃が高いわけではなく、地域ごとに定められた運賃制度に従っています。収入面では営業努力次第で高収入も狙えますが、経費や福利厚生はすべて自己負担となり、収入の安定性には課題があります。

開業には厳しい要件があり、長年の無事故・無違反運転経歴や豊富なタクシー乗務経験が求められます。個人事業主として働く自由度は魅力ですが、すべてを自己管理する責任も伴います。個人タクシーを目指すにせよ、法人タクシーで安定的に働くにせよ、自分のライフスタイルやキャリアプランに合った選択をすることが大切です。

タクシードライバーとしてのキャリアアップや転職を考えているなら、『GOジョブ』の利用がおすすめです。『GOジョブ』は、タクシーアプリ『GO』を展開するGO株式会社グループのGOジョブ株式会社が運営する、ドライバー専門の転職支援サービスです。 『GOジョブ』の特徴 ・ドライバー専門のキャリアアドバイザーが、求人紹介から面接設定までサポート ・タクシー業界に精通したプロが、希望条件に合った求人をマッチング ・『GO』を展開する企業グループの運営で、業界内での信頼感がある ・企業との強固なネットワークを活かし、好条件・高収入の非公開求人も多数取り扱い ・完全無料で利用可能、登録は1分で完了

個人タクシー開業を目指す人だけでなく、法人タクシーへの転職や異業種へのキャリアチェンジも含めて相談できます。勤務しながらの転職活動でも柔軟に対応してもらえるので、在職中のドライバーでも安心して利用できます。高い収入アップやキャリアアップを目指すドライバーは、まず『GOジョブ』に相談してみてはいかがでしょうか。