タクシー広告の種類と効果・費用対効果を徹底解説

最終更新日:2025年12月22日

タクシー広告

タクシーの車内モニターや車体ラッピングを利用した広告が注目を集めています。移動中の乗客や街行く人々にアプローチできるタクシー広告は、効果測定のしやすさや費用対効果の高さが魅力です。本記事では、タクシー広告の種類ごとの特徴やメリットを最新データに基づいて比較し、各広告手法の効果測定方法やコストの違いも解説します。貴社に最適なタクシー広告戦略を立てるための指針としてお役立てください。

タクシー広告とは?その概要とメリット

タクシー広告とは、タクシー車内や車体を広告媒体として活用する手法の総称です。車内モニター広告、車内ポスター・ステッカー、車体ラッピング広告など複数の種類があり、それぞれ異なる特性を持っています。

全国のタクシー年間利用者数は令和5年度(2023年度)で約10億人にのぼり(※1)、タクシー車両も約20万台以上稼働しています(※1)。都市部を中心に台数が多く、広告媒体として非常に大きなリーチ(接触可能な人数規模)を持つのが特徴です。これだけの規模を持つタクシーネットワークは、企業にとって魅力的な広告プラットフォームといえます。

タクシー広告の主なメリットは次の通りです。まず、車内広告は移動中の乗客に確実にリーチできます。タクシーならではのゆったりとした車内空間において、広告が利用者の目に触れやすい設計となっており(※2)、乗車中ずっと視界に入るため高い認知効果が期待できます。次に、車体広告は走行中に街ゆく多数の人々の目に触れるため、動く屋外広告として広範囲に訴求できる点が魅力です。さらに、地域や時間帯によってターゲットを絞りやすいのも大きな利点です。例えば朝の都心部ではビジネスパーソン、観光地では観光客など、狙った層に届けやすくなります。

タクシー利用者には高齢者・経営者・観光客などが多い傾向があり(※2)、購買力の高い層への訴求手段としても注目されています。特に企業経営者層など移動時間に余裕がある乗客は、広告内容にじっくり目を通す傾向があります。このようにタクシー広告は、質の高いターゲット層へのリーチという観点でも優れた広告媒体なのです。

近年はデジタルサイネージの導入拡大により、広告効果のデータ計測が容易になりつつあります。これにより費用対効果の高い広告チャネルとして再評価されており、多くの企業がタクシー広告に注目し始めています。従来の測定の難しさが解消されつつあることで、より戦略的な広告運用が可能になっているのです。

【参考URL】 ※1 出典:国土交通省「ハイヤー・タクシーの車両数及び輸送人員」令和5年度版: https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/001894856.pdf ※2 出典:国土交通省「タクシー車内デジタル広告 導入事例(香川県高松市)」 https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/001479823.pdf

タクシー広告の種類と特徴を比較

タクシー広告は大きく「車内広告」と「車体広告」に分けられます。車内広告はさらに静止画(ポスター・ステッカー等)とデジタルサイネージ(電子モニター広告)に分類でき、それぞれ広告手法に特徴があります。

各種類ごとに、広告を掲出する場所・形式、主にリーチできる対象、訴求力や表現できる内容、効果測定のしやすさ、おおよそのコスト帯などの観点で特徴が異なります。まず車内広告(紙媒体からデジタルへ)の順に説明し、次に車体広告を解説していきます。それぞれのメリット・デメリットや適した活用場面を理解することで、貴社のニーズに最適な広告形態を選択できるでしょう。

車内広告(ポスター・ステッカー)

タクシー車内に掲出する静的な紙媒体の広告です。バスやタクシーにおける従来の広告は、ポスターやリーフレット、ステッカーが中心でした(※3)。運転席・助手席の背面に設置されたポスターフレームへの貼り込み、窓ガラスへのステッカー掲出、車内にチラシや小冊子を設置する形態などが該当します(※3)。乗客の目線に入りやすい位置に掲示し、乗車中に視認されることを狙います。

この形態のメリットは、制作・掲出コストが比較的低廉で、小規模な予算でも始められることです。掲出期間中は常に乗客の目に触れるため、乗車中繰り返し視認されブランド認知を浸透させやすくなります。静止画情報のため乗客にとって煩わしさが少なく、落ち着いて内容を読むことも可能です。

一方、デメリットとしては、表現できる情報量や訴求力に限りがある点が挙げられます。動画や音声によるアピールは不可能です。広告内容を変更する際には掲出物そのものの差し替え作業が必要になります。また、広告効果の把握も直接的には行いづらく、乗客アンケートやクーポン利用数など間接指標で効果を推定する形となります。

【参考URL】 ※3 出典:国土交通省「デジタル機器等の効果と有効活用に向けた要点」 https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/001479820.pdf

車内デジタルサイネージ広告

タクシー後部座席前に設置したタブレット端末や液晶ディスプレイに、インターネット経由で広告コンテンツ(動画・静止画)を配信する広告形態です(※3)。乗客が座る後部座席の目前にスクリーンが配置され、走行中にニュースや天気とともに広告映像が流れる仕組みになっています。

この形態の大きな特徴は、通信回線で繋がった配信システムにより広告内容の遠隔更新が可能なことです。車両内のディスプレイやタブレットに広告を配信すれば、広告を差し替える作業が不要になります(※3)。季節や時間帯に応じて広告差し替えができ、手作業でポスターを張り替える必要もありません(※3)。また、動画を含む情報の発信が可能で(※3)、静止画に比べ乗客の注意を引きやすいのも魅力です。

メリットとしては、映像と音声(音声は乗客の迷惑にならない範囲で使用)による高い訴求力が得られることが挙げられます。乗客一人あたり平均10~15分程度の乗車時間中に複数回広告を露出できるため、記憶に残りやすくなります。配信ログデータが取得でき、再生回数や視聴完了率など効果測定が比較的容易です。広告主ごとの露出回数管理や、乗客のタッチ操作・QRコード経由で反応を計測することも可能で、データに基づく運用改善(PDCA)がしやすいのです。

デメリットとしては、車内機器の設置や維持にコストがかかるため、広告出稿料は紙媒体より高めに設定される傾向があります。対応車両が限定されるとリーチできる乗客数も限られるため、一定台数以上のネットワーク構築が必要です。地方や小規模事業者では未導入も多く、都市部と比べて展開しづらい場合があります。

導入動向について触れると、国内では2010年代後半より大手タクシー会社が車内デジタル広告を試験導入しています。東京都では平成30年度に約2000台分のタブレット端末導入を補助し、将来的に1万台規模への拡大を目指すなど普及を後押ししました(※4)。現在では主要都市圏を中心にタクシー車内動画広告ネットワークが構築されつつあり、広告媒体として定着し始めています。

【参考URL】 ※4 出典:国土交通省関東運輸局「タクシーの新たな取り組み(東京特別区等)」 https://wwwtb.mlit.go.jp/kanto/jidou_koutu/tabi2/taxi_kyougikai/tokyo/tokubetu/date/juntokutei/6/sankou.pdf

車体広告(車外ラッピング等)

タクシー車両の外装部分に広告デザインを掲出する手法です。ドア部分の社名表示枠を広告ステッカーに差し替える例や、車体全体をラッピングシートで覆う全面広告、タクシー上部の行灯(屋根看板)部分を広告表示に活用するケースなどがあります。走行中・停車中を問わず周囲の不特定多数に視認されるため、動く屋外広告として街中で高い露出効果を発揮します。

メリットとしては、広告掲載範囲が広く視認性が高いため、広範囲の潜在顧客にブランド訴求できることが挙げられます。特に全面ラッピング車両は街中でも目立ち、話題性を創出することも可能です。車両が走行するルート次第では特定エリアを集中的にカバーでき、地域密着の宣伝に有効です。夜間でも行灯や車体照明によって24時間広告できる利点もあります。

デメリットとしては、実際に何人の目に触れたかの計測が難しい(推計やサンプル調査に頼る必要がある)という屋外広告全般の課題があります。地域によっては車体への広告掲出箇所に規制があり、全面ラッピングが禁止・制限されている場合もあります(※5)。また、デザイン制作やシート施工にコストがかかり、複数台の車両に展開するには相応の予算が必要です。

留意点として、タクシーの自社カラーや乗務員の視界確保との兼ね合いも考慮する必要があります。広告デザインは乗客の乗降口(ドア)や車体後部など乗降時・走行時に特に目立つ位置に配置すると効果的です。ラッピング素材は耐候性の高いものを用い、定期メンテナンスで色褪せや剥がれを防ぐことが望ましいでしょう。

【参考URL】 ※5 出典:国土交通省「タクシー全面広告:車体への広告掲載場所規制の緩和」 https://www.mlit.go.jp/common/001232965.pdf

種類別の比較まとめ

ここまで解説した各媒体の特徴を比較表で整理します。

種類別の比較まとめ

この比較結果を踏まえ、広告主は自社商品や訴求相手に合わせて媒体を選定することが重要です。例えば、ターゲットが不特定多数なら車体広告、明確なターゲット層があるなら車内広告など、目的に応じた使い分けが効果的です。必要に応じて複数手法を組み合わせることで相乗効果も期待できます。

タクシー広告の媒体選びに悩んだら、ぜひ専門家に相談することをおすすめします。経験豊富なスタッフが貴社の目的や予算に合わせて最適なタクシー広告プランを提案してくれるでしょう。各種タクシー広告の詳細資料も参考にしながら、最適な広告戦略を立てていきましょう。

タクシー広告の効果測定方法

タクシー広告を含む交通広告では、従来インターネット広告のように詳細な閲覧データを直接取得できないという課題がありました。何人が広告を見たか正確に把握しづらく、効果測定が難しいとされてきたのです。

しかし、こうした課題に対し交通広告業界では共通指標の整備が進んでいます。例えば公益社団法人日本鉄道広告協会などが中心となり、車内広告の広告到達率(掲出期間中に「見た/見た気がする」と回答した人の割合)を毎年調査しています(※6)。2019年度の調査では、媒体による差はあるがおおむね4割前後の乗客が車内広告を認知したとの結果が得られています(※6)。これは決して低い数値ではなく、タクシー広告が確実に乗客の目に留まっていることを示しています。

効果測定の方法としては、いくつかのアプローチが考えられます。まず、アンケート調査による想起率・認知度の測定があります。乗客に広告を見たか尋ねることで、どの程度認知されているかを把握できます。次に、クーポンコードやQRコードを用いた反響計測も有効です。クーポン利用数やアクセス数で効果を定量的に把握できます。デジタルサイネージのログ分析では、再生回数・視聴時間やタッチ操作数のデータ収集が可能です。さらに、位置情報データの活用により、GPSや携帯電話の位置情報から車体広告の推定到達人数を算出することもできます。

効果指標として重要なのは、広告接触によるブランド認知度・好感度の向上です。実際、交通広告の調査では広告を見た人の方がブランド好感度が高いという結果が得られています(※6)。例えばある調査では、交通広告非接触者のブランド好意度17.3%に対し、接触者では44.9%と大幅に上昇しました(※6)。このようにタクシー広告も含め、間接的な効果(ブランディング効果)を数値化することが可能なのです。

デジタル化による改善も見逃せません。デジタルサイネージ広告ではリアルタイムで配信状況や視聴データを集計できるため、タクシー広告の効果測定精度は格段に向上しています。今後、AIカメラで乗客の視線を計測したり、車外の視認者数をAI解析する技術など、さらなる可視化・数値化の高度化も期待されています。

【参考URL】 ※6 出典:東京都交通局「交通広告共通指標推進プロジェクト(広告到達率調査)」 https://www.kotsu.metro.tokyo.jp/other/kanren/ad/pdf/media_guide_11.pdf

効果測定のポイントと活用法

タクシー広告の効果は、「何人に届いたか」というリーチ指標と「態度変容や認知度向上」といった質的指標の双方で評価すべきです。車内広告であれば乗車人数などから露出規模を概算でき、デジタル広告なら詳細ログで精緻な分析も可能です。一方、車体広告の効果把握には推定モデルやアンケート補完が必要になるなど、媒体ごとに測定手法が異なる点を押さえておきましょう。

広告出稿時にはKPI(重要指標)を事前に設定することが重要です。例えば「広告の想起率40%以上」「キャンペーンサイト訪問数1000件以上」など具体的な目標を定め、掲出後に適切な方法で検証することで、次回以降の改善につながります。タクシー広告は効果測定が難しいと言われますが、工夫次第でデータに基づくPDCAサイクルを回すことが十分可能です。

効果測定の設計や結果分析に不安がある場合は、専門家のサポートを受けることも検討しましょう。タクシー広告運用のプロが、目標設定から効果検証まで伴走し、広告投資効果を最大化する手助けをしてくれます。データドリブンな広告運用により、限られた予算で最大の成果を上げることができるのです。

タクシー広告の費用対効果

タクシー広告の出稿費用は、媒体種類や契約形態によって幅があります。車内ポスター掲出料は1台あたり月数千円程度から設定されるケースが多く、車内デジタル広告は再生時間や配信エリアにより料金プランが設定されます。車体ラッピング広告では車1台あたり数万円から数十万円/月規模(デザイン制作費含む)となる例もあり、必要台数や掲出期間によって総費用は変動します。具体的な金額は媒体社により異なるため、複数の見積もりを比較検討することをおすすめします。

費用対効果の考え方としては、投下した広告費に対しどれだけのターゲットにリーチし反応を得られたかで評価します。タクシー広告は比較的小規模な予算から始められ、無駄の少ないターゲット露出が可能なため、効率的なプロモーション手段といえます。例えば1台のタクシーで年間約4,600~4,700人に広告接触できる計算になり(※1)、50台規模で展開すれば年間数十万人規模へのリーチが期待できます。この潜在接触数あたりの費用(CPM:1000人あたりコスト)は、他の屋外広告やマスメディアに比べても遜色ない水準になり得るのです。

費用対効果を向上させるポイントとして、データに基づく運用最適化が挙げられます。デジタルサイネージ広告では時間帯や曜日でクリエイティブを切り替えA/Bテストを実施したり、車体広告ではGPSデータから効果の高い走行ルート・時間帯を選定したりすることが可能です。これにより同じ予算でも反響を最大化でき、ROI(投資収益率)の向上につながります。

留意点として、短期的な反応(問い合わせ件数や売上など)だけでなく、中長期的なブランド認知向上効果も費用対効果に含めて検討すべきです。交通広告への接触はブランド好感度アップにも寄与するデータがあり(※6)、これら無形効果を含め総合的に判断するとタクシー広告は十分高いリターンを見込めます。ブランド価値の向上は、将来的な顧客獲得や売上増加にもつながる重要な指標です。

費用対効果を最大化するために

タクシー広告は少ない予算でも確実にターゲットにリーチできる、コストパフォーマンスに優れた広告手段です。媒体の組み合わせや運用工夫次第で効果はさらに高まり、限られた広告費で最大の成果を上げることも可能です。特にデジタル広告の導入により、費用対効果の検証・改善サイクルを回しやすくなっている点は大きな利点といえます。

タクシー広告の活用にあたり費用対効果をもっと高めたいとお考えの場合は、専門家に相談することをおすすめします。豊富な実績を持つプロの視点で、予算内で効果を最大化する最適なプランを提案してもらえるでしょう。広告戦略の立案から実施、効果検証まで一貫したサポートを受けることで、より確実な成果につなげることができます。

まとめ

本記事ではタクシー広告の種類ごとの特徴、効果測定の手法、費用対効果について、公的データに基づき比較・解説してきました。タクシー広告は幅広い層にリーチでき、効果を測りやすく費用対効果も高い媒体である点が要点です。

車内広告(ポスター・ステッカー、デジタルサイネージ)は、移動中の乗客に確実にアプローチできる広告手法です。特にデジタルサイネージは動画による高い訴求力と詳細な効果測定が可能で、データドリブンな広告運用を実現できます。一方、車体広告(ラッピング等)は街中で不特定多数の目に触れる動く屋外広告として、広範囲なブランド認知に効果を発揮します。

効果測定については、従来は難しいとされてきましたが、業界全体で共通指標の整備が進み、広告到達率や認知度向上などの数値化が可能になっています。デジタル化の進展により、リアルタイムでのデータ収集や分析も容易になり、PDCAサイクルを回した継続的な改善が実現できるようになりました。

費用対効果の面では、タクシー広告は比較的小規模な予算から始められ、ターゲットを絞った効率的な露出が可能です。全国で年間9億人以上が利用するタクシーネットワークを活用することで、他の広告媒体に引けを取らないコストパフォーマンスを実現できます。

企業の広告担当者の皆様におかれては、これら最新情報をマーケティング戦略の検討材料としてぜひ活用していただきたいと思います。車内広告と車体広告を組み合わせた統合的なアプローチや、デジタル技術を活用した効果測定など、タクシー広告には多様な可能性が広がっています。

なお、タクシー業界では乗務員の人手不足が深刻化しており、優秀なドライバーの確保が業界全体の課題となっています。広告効果を最大化するサービス提供のためにも、ドライバー人材の充実は欠かせません。質の高いサービスを提供するタクシー事業者を支えることは、広告主にとっても重要な視点です。

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