新卒でタクシードライバーになる|仕事内容や年収・採用動向を徹底解説

最終更新日:2025年09月04日

新卒 タクシードライバー

近年、タクシー業界では新卒ドライバーの採用が増加傾向にあります。タクシードライバーというと中高年が担う仕事というイメージがあるかもしれませんが、東京のタクシードライバーの平均年収は約480万円と高水準で、若手にも魅力的なキャリアといえるでしょう(※1)。

本記事では、新卒でタクシードライバーを目指す方に向けて、仕事内容から給与体系、労働環境まで詳しく解説します。未経験でも安心して働けるヒントや最新動向も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

タクシードライバーの仕事内容とは?

タクシードライバーの主な仕事は、お客様を目的地まで安全かつ快適にお送りすることです。単に運転するだけでなく、さまざまな業務があります。

乗務開始前には車両の点検や日報の準備を行い、営業中は駅や繁華街でお客様をお待ちしたり、無線配車の指示に応じてお迎えに行ったりします。お客様が乗車される際は、ドアの開閉や荷物の積み下ろしをお手伝いし、シートベルトの着用をお声かけした上で、交通状況に応じて最適なルートで目的地までお送りします。

降車時にはメーターに表示された運賃を精算し、乗務記録に走行経路・距離、乗降時刻、運賃などを記入します。勤務終了後には、売上金の精算や忘れ物チェック、車内清掃、日報整理なども重要な業務です。

近年ではカーナビや配車アプリを活用することも増えていますが、やはりスムーズにお客様をお送りするには地理や道路事情の知識が重要です。新人のうちは道に不慣れでも、会社の研修や先輩の同乗指導を通じて徐々に主要エリアを覚えていけるので心配はいりません。

新卒・未経験でもなれる?必要な資格や条件

結論からいえば、学歴や経験は不問で、新卒・未経験からでもタクシードライバーになることは十分可能です。ただし、旅客輸送を行うには普通自動車第二種運転免許(いわゆる二種免許)が必要で、取得には満21歳以上かつ普通免許取得から3年以上という条件があります。

また、東京など一部地域で営業するには「タクシーセンター」の地理試験(地理・接遇など)に合格し、乗務員証を取得する必要があります。

現在普通免許(第一種)しか持っていなくても問題ありません。多くのタクシー会社では普通免許のみで応募した新卒社員を受け入れており、入社後に会社負担で教習所に通わせ二種免許を取得させるのが一般的です。

実際、タクシー業界では新規採用者の約7割が未経験者であり、ほとんどの人が二種免許取得後に社内研修を経て一人前のドライバーとして活躍しています。AT限定免許しかお持ちでない方もご安心ください。二種免許にはAT限定もあり、現在のタクシー車両の大半はオートマ車なので問題なく取得・乗務できます。

タクシードライバーの平均年収・給与体系

タクシードライバーの給与体系は、一般的な企業とは少し異なり歩合制が中心です。毎月決まった金額がもらえるわけではなく、自分の売上に応じて収入が変わります。歩合制と聞くと「ノルマが厳しそう」という印象を持つかもしれませんが、タクシー業界では月の乗務回数に上限が定められており、また最低給与保証を設けている会社がほとんどです。そのため、ノルマ未達で給与ゼロになるような心配はありません。

厚生労働省の統計によれば、タクシー運転者の平均年収は全国で約360万円、東京都では約480万円に上ります(※1)。大都市圏の東京が全国トップ水準で、次いで大阪府(約412万円)、神奈川県(約414万円)と続きます。東京の平均年収は全産業の平均と比べても遜色ない高い水準であり、新卒にとっても魅力的な給与といえるでしょう。

新人期間中は研修中など固定給となるケースも多く、一定期間は高めの保証給を支給して新人の収入を下支えする会社もあります。歩合制とはいえ頑張った分だけ収入に反映されるため、仕事の成果がそのまま収入アップにつながるやりがいがあります。入社1年目から同世代の平均以上の収入を得ることも十分可能で、実際に年収1000万円超を達成した若手ドライバーがいるとの報道もあります(※2)。

参考URL

・※1出典:厚生労働省「タクシー業界まるわかりHANDBOOK」 https://driver-roudou-jikan.mhlw.go.jp/pdf/taxi/TaxiGyokaiHandBook.pdf

・※2出典:東洋経済オンライン「1年目年収が同級生の3倍!タクシー新卒の真実 年収1000万円を超えるエースに成長した人も」 https://toyokeizai.net/articles/amp/422664

勤務時間・休日・労働環境の実情

タクシー運転手の勤務形態には、大きく分けて日勤・夜勤・隔日勤務(一日おき勤務)の3種類があります。

都市部では隔日勤務が主流で、1回の乗務時間は出庫から帰庫まで16~18時間程度(途中2~3時間の休憩を含む)と長時間ですが、その分月の乗務日数は11~13回程度に抑えられ、休日が多くプライベートの時間を確保しやすい働き方です。

日勤は朝から夕方までの8時間勤務(休憩1時間)で月22日前後乗務し、夜勤は夕方~深夜の勤務で月間の乗務回数は日勤と同程度かやや少なめです。

長時間の勤務と聞くと不安に感じるかもしれませんが、運転手の労働時間は法律で厳しく管理されています。例えば隔日勤務でも1回の拘束時間は原則21~22時間以内、月間総労働時間も約260時間以内と規制され、乗務後は十分な休息時間の確保が義務付けられています。また、各乗務員の健康状態を考慮したシフト調整や、始業・終業時刻の正確な記録など、業界全体で働きやすい労働環境づくりが進められています。

労働環境の面では、各社とも乗務員が安心して働ける職場づくりに注力しています。例えば仮眠室・休憩室の整備や、女性専用の更衣室・トイレの設置を進める会社も増えています。育児中の社員向けに提携保育所を用意するなど、従来の「きつい」イメージを払拭する取り組みも行われています。また、車両には防犯カメラや非常通報ボタンが搭載され、安全管理も強化されています。

タクシー運転手は基本的に正社員雇用で社会保険も完備されており、定年後も働き続けやすい仕事です。平均年齢は58~60歳前後と他産業に比べ高齢で、健康であれば70代でも現役を続けられます。

新卒でタクシードライバーになるメリット・デメリット

新卒でタクシードライバーというキャリアを選ぶ際のメリットとデメリットを整理します。

メリット

頑張り次第で高収入を狙える 給与は歩合制のため、努力して多くのお客様を乗せれば新人でも高収入が期待できます。新人とベテランで基本給に大きな差はなく、やる気次第で入社1年目から同世代の平均以上の収入を得ることも可能です。

働き方の自由度が高い ある程度自分の裁量で働けるため、休憩を取るタイミングや営業エリアも柔軟に調整できます。勤務時間内で仕事が完結し、休日に仕事が持ち込まれることも基本的にないので、オンとオフをはっきり分けてリフレッシュできます。

人間関係のストレスが少ない 基本的に単独で業務を行うため、社内の煩わしい人間関係に悩まされにくい仕事です。組織での上下関係やチーム内の対人摩擦が少なく、マイペースに働ける点は大きな魅力です。

将来的に独立や多様なキャリア 経験を積めば個人タクシーとして独立開業する道も選べます。また会社によってはハイヤー専属ドライバーや運行管理などへの社内キャリアパスを用意している場合もあり、長期的に見て幅広い選択肢があります。

デメリット

勤務時間が不規則で体力が必要 夜間勤務や長時間の隔日勤務では生活リズムが乱れがちで、慣れるまで身体に負担を感じるかもしれません。ただし法規制による休息ルールや勤務日数制限があるため、過度な長時間労働にならない仕組みにはなっています。

収入が天候や景気に左右される 歩合制ゆえにお客様の数が収入に直結し、景気動向や繁忙期・閑散期によって稼ぎに差が出る可能性があります。実際、2020年度はコロナ禍で業界全体の売上が前年度比約4割減となり、運転手数も1割以上減少しました。こうした外的要因による収入変動リスクはゼロではありません。

接客対応や安全への責任が大きい お客様相手のサービス業である以上、深夜の酔客対応やクレーム処理など精神的な負担を感じる場面もあります。また、長時間の運転は事故のリスクも伴うため、常に安全運転と注意力が求められます。

周囲の理解を得にくい場合がある 新卒でタクシー運転手という選択に対し、家族や友人が驚いたり反対したりするケースもあるようです。業界には「タクシー運転手=中高年の仕事」という古いイメージが残っているのも事実で、最初は周囲の理解を得にくい可能性があります。

各地の採用動向とおすすめ企業

タクシー業界では人手不足への対策として、ここ十年ほどで各社が新卒採用に本格的に乗り出してきました。実際、都内大手タクシー6社(日本交通・国際自動車・大和自動車交通・帝都自動車交通・東都自動車交通・日の丸交通)の合計新卒採用者数は、2023年度に452人となり、この10年で8倍超に急増しています(※3)。

全国的に見ても、新卒タクシー乗務員の採用人数は2021年時点で924人に達しています(全国ハイヤー・タクシー連合会の調査)。新卒採用は都市部の資金力ある大手企業に集中する傾向がありますが、一昔前に比べれば「タクシー=高齢者の仕事」という状況も大きく変わりつつあります。

おすすめの企業としては、やはり大都市圏の大手タクシー会社が挙げられます。例えば東京の日本交通・国際自動車、大阪・京都のMKタクシーなどは毎年数十~数百名規模で新卒採用を行っており、充実した研修制度と若手育成に定評があります。これらの企業では、新卒ドライバーを将来の幹部候補として育成する方針を掲げており、20代の社員だけで構成された若者専用の営業所を設立するなどユニークな取り組みも見られます(※4)。

また、企業選びの際には国土交通省が実施している「働きやすい職場認証制度」にも注目してみましょう。この制度はドライバーの労働環境改善に取り組む運送事業者を公的に認証するもので、2020年に創設されました(※5)。認証企業はハローワークの求人票に認証マークが表示されるなど、求職者にも分かりやすく情報提供されています。タクシー会社では東都自動車交通グループなど多数の事業者が最高位の「三つ星」認証を取得済みです。新卒で企業を選ぶ際は、このような認証取得状況や公的データを参考に、労働環境の良い会社を見極めることが大切です。

参考URL

・※3出典:東洋経済オンライン「就活生が『タクシー運転手』に新卒カード切る理由 都内の新卒採用者数はこの10年で約20倍に」 https://toyokeizai.net/articles/-/612412?display=b 

・※4出典:東洋経済オンライン「『新卒がほしい』 タクシー会社はここまでやる 親付きの会社説明会、20代だけの営業所…」 https://toyokeizai.net/articles/-/736094 

・※5出典:国土交通省「自動車:働きやすい職場認証制度(正式名称:『運転者職場環境良好度認証制度』)」 https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_tk1_000025.html

就職活動の流れと成功のコツ

タクシードライバーへの就職活動は、一般的な企業就職と同様に情報収集から始まります。まず、求人情報の収集はハローワークや各社の採用ページで行えます。タクシー会社は通年採用を行っていることも多いので、興味のある企業があれば随時説明会や見学会に参加してみましょう。会社によっては親御さん同伴の説明会を開催しているところもあります(国際自動車など)。

応募・選考では、書類審査と面接が中心です。面接では「なぜタクシー業界を志望するのか」「安全運転への意識」「接客業への適性」などが確認されます。自家用車の運転経験がある方は、無事故・無違反であることをアピールすると良いでしょう。タクシー会社は安全第一ですので、日頃から安全運転を心がけている人ほど評価につながります。

また、サービス業としてのコミュニケーション能力や明るい対応も重視されます。笑顔でハキハキと受け答えすることで好印象を与えられるでしょう。

内定後~入社までに普通二種免許を未取得の場合は取得する必要がありますが、前述の通り多くの会社は入社後に教習所通いの費用を全額負担してくれます。そのため、内定時点で二種免許がなくても心配は要りません。入社時までに健康診断や適性検査を受け、晴れて正社員ドライバーとしてスタートします。

成功のコツ

タクシー業界の就職では、「安全」「ホスピタリティ(おもてなし)」への意欲をしっかり伝えることが大切です。具体的には「人と接するのが好き」「運転が好きで安全運転には自信がある」など、自分の強みをアピールしましょう。

また、業界研究として平均年収や勤務制度など本記事で述べた公式データを織り交ぜて話すと、志望度の高さと真剣さを示せます。加えて、タクシー業界で働く先輩ドライバーの話をOB訪問やSNS等で調べておくと、具体的な志望理由づくりに役立ちます。

最後に、面接では笑顔と礼儀を忘れず、お客様に安心していただくための気配りができる人物であることをアピールすると良いでしょう。

未経験者のための研修・育成制度

タクシー会社では、未経験の新人社員に対する研修・育成制度が整っています。座学研修では道路交通法や接客マナー、地理知識、メーター操作方法など基礎から学びます。続いて、実地研修としてベテランドライバーが同乗し、実際の営業の流れを教えてくれます。最初の数日は先輩が助手席に乗って手取り足取り指導してくれるため、未経験でも安心です。

研修期間中に営業所周辺の主要な駅や施設、幹線道路などを回り、地理も徐々に頭に入れていきます。

新人研修後も、ドライバーの育成支援は続きます。各社で営業ノウハウの共有や安全運転研修が定期的に行われるほか、最近ではビッグデータを活用しお客様の多い時間帯・エリアの情報を提供して効率的な営業をサポートする会社もあります。資格取得支援や英会話研修などスキルアップの機会を用意している企業もあり、未経験からでもプロのドライバーへ着実に成長できる環境です。

よくある疑問とその回答(Q&A形式)

Q. 新卒・未経験でも本当にタクシー運転手になれますか? A. はい、十分に可能です。実際、新卒ドライバーの採用は年々増加しており、この10年で8倍以上に増えました。必要なのは普通自動車運転免許(第一種)だけで、二種免許は入社後に会社の費用負担で取得できます。充実した研修制度が整っているため、未経験でも安心してチャレンジできます。

Q. 新卒タクシードライバーの平均年収はどれくらいですか? A. 平均年収は全国で約360万円、東京都では約480万円程度です。新人でも効率よく営業すれば、この水準の収入を十分目指せます。実際に入社1年目で同年代の平均年収を上回り、年収1000万円超を達成した例もあります。

Q. 普通免許がAT限定ですが大丈夫でしょうか? A. はい、大丈夫です。二種免許にもAT限定がありますし、現在のタクシー車両はほとんどがオートマ車です。AT限定免許の方もそのまま二種免許を取得でき、問題なくタクシードライバーとして働けます。

Q. タクシー運転手の仕事はきついですか? A. 他の仕事に比べ勤務時間が特殊な面はありますが、適切に休憩を取りながら働けば過度の心配はいりません。隔日勤務は確かに1回の拘束時間が長いものの、その分翌日は必ず明け休みとなり十分な休息が取れます。また、法令によって労働時間の上限や休息時間が定められており、各社も乗務員の健康管理に配慮しています。力仕事はほとんど無いため体力面での負担も想像ほど大きくありません。

Q. 道を覚えられるか不安です。土地勘がなくても大丈夫? A. 心配いりません。各社とも新人研修で地理の基礎をしっかり教えてくれますし、最初は先輩乗務員が同乗して指導してくれます。最近はカーナビや配車アプリも普及しているため、土地勘がない状態でも徐々に経験を積む中で主要なルートを覚えていけます。

Q. 女性でもタクシードライバーになれますか? A. もちろん可能です。現在、女性ドライバーも少しずつ増えており、会社側も女性が働きやすい環境整備を進めています。例えば女性専用の休憩室や更衣室の設置、育児支援制度を導入するタクシー会社もあります。運転業務自体に性別のハンデはなく、接客スキルや安全運転スキル次第で男女問わず活躍できます。

Q. 将来は個人タクシー(独立開業)になることもできますか? A. はい、可能です。一定の運転経験(営業用乗務経験)を積み、所定の条件を満たせば、各地域の運輸局から個人タクシー営業の免許を受けて独立開業する道が開かれます。実際に会社勤めを経て個人タクシーに転身するドライバーも多く、自分の裁量で働きたい方には将来的に独立という選択肢もあります。

参考URL

・厚生労働省「タクシー業界まるわかりHANDBOOK」 https://driver-roudou-jikan.mhlw.go.jp/pdf/taxi/TaxiGyokaiHandBook.pdf 

・職業情報提供サイト(job tag)「タクシー運転手 - 職業詳細」 https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/188

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