最終更新日:2026年10月26日


回送ドライバーとは、自動車そのものを運転して、依頼された目的地まで届ける仕事です。荷物ではなく「車」が運ぶ対象になる点が、ほかのドライバー職との大きな違いです。
この記事では、回送ドライバーの仕事内容や1日の流れ、陸送との違い、必要な免許、正社員・アルバイト・業務委託・副業といった雇用形態の違い、きついと言われる理由と向いている人まで、未経験の方にもわかるように整理します。運転の仕事への転職を考えている方は、自分に合う働き方かどうかを判断する材料にしてください。
回送ドライバーとは、依頼を受けた車両を自分で運転し、指定された場所まで移動させる仕事です。お客様を乗せたり荷物を届けたりするのではなく、車両を「動かして届けること」そのものが業務の中心になります。
回送の依頼は、車を扱う多くの事業者から発生します。代表的なのは、レンタカーやカーシェアの営業所間で車両を移す業務、自動車ディーラーが販売した車をお客様の自宅や店舗へ届ける業務、整備工場や車検場への車両の持ち込み・引き取り、中古車販売店やオークション会場との間の移動などです。回送ドライバーは、こうした「車を別の場所へ動かしたいけれど、自社のスタッフだけでは手が回らない」場面を支える存在といえます。
求人によっては「車両回送ドライバー」「レンタカー回送スタッフ」「自走回送ドライバー」など呼び方が異なりますが、いずれも車両を運転して届ける点は共通しています。応募を検討するときは、名称よりも「どんな車を、どこからどこへ、どのくらいの距離運ぶのか」を求人票で確認するのが確実です。
回送ドライバーの仕事は、車両の引き取りから納車後の報告までが一つの流れになっています。一般的な業務の進み方は次のとおりです。
回送では、出発前と引き渡し時の車両状態の確認が欠かせません。もともとあった傷と運転中についた傷を区別できるよう、写真を撮ったりチェックシートに記入したりする運用をとる会社が多くあります。
また、車検が切れた車や、まだ登録されていない新車などは、そのままでは公道を走れません。こうした車両を製作・販売・陸送・特定整備を業とする事業者が動かす場合には、国の運輸局に申請して受ける「回送運行許可」という制度があります(出典: 国土交通省 関東運輸局「自動車の回送運行の許可事務等の取扱要領」2022年)。回送運行許可では、車検場や顧客の所在地、整備工場などへの回送が想定されています(出典: 国土交通省 関東運輸局「自動車の回送運行の許可事務等の取扱要領」2022年)。こうした手続きは会社側が行うのが一般的なため、ドライバー個人が申請することは通常ありませんが、「ナンバーの付いていない車を運ぶこともある仕事」だと知っておくと、業務のイメージがつかみやすくなります。
回送ドライバーの1日は、「運転して届ける」と「次の場所へ移動する」の繰り返しです。届け先で車を降りたあとは、電車やバスなどの公共交通機関を使って会社や次の引き取り場所へ向かうのが、回送ならではの特徴です。
1日の流れの一例は次のとおりです。
1日に何件こなすかは、運ぶ距離や会社の方針によって大きく変わります。近距離の案件を複数こなす日もあれば、長距離の案件1件で1日が終わる日もあります。
ここで注意したいのが、帰り道や案件間の移動にかかる交通費と時間の扱いです。交通費を会社が直接手配するのか、ドライバーが立て替えて後から精算するのかは、会社や契約によって異なります。業務委託の場合は、移動時間が報酬の計算に含まれるかどうかも契約によって変わります。応募前に求人票や面接で確認しておくと、働き始めてからのギャップを防げます。
回送と陸送は、どちらも「車を目的地へ届ける仕事」を指す言葉で、求人では同じ意味で使われることも少なくありません。違いを整理するときは、言葉そのものよりも「車をどうやって運ぶか」に注目するとわかりやすくなります。
車を届ける方法には、大きく分けて「自走回送」と「車両運搬」の2つがあります。それぞれの違いは次の表のとおりです。
項目 | 自走回送 | 車両運搬 |
運び方 | 運ぶ車両そのものを運転して届ける | キャリアカーなどの運搬車に車両を積んで届ける |
ドライバーが運転する車 | 届ける車両 | 運搬用のトラック(キャリアカー等) |
必要な免許の目安 | 届ける車両に応じた免許(乗用車なら普通免許が中心) | 運搬車の大きさに応じた免許(準中型・中型・大型が求められる場合がある) |
主な場面 | 近〜中距離の移動、営業所間の移動、納車 | 複数台をまとめて運ぶ場合、長距離の輸送 |
一般に「回送ドライバー」と呼ばれる仕事は、自走回送を指すことが多く、「陸送」は自走回送と車両運搬の両方を含む広い意味で使われる傾向があります。ただし、会社によって呼び方は混在しているため、求人票の仕事内容欄で「自分で運転して届けるのか」「キャリアカーで運ぶのか」を確認してください。なお、車検切れや未登録の車両を公道で動かすための「回送運行許可」は、製作・販売・陸送・特定整備を業とする事業者が対象とされており、陸送も車を動かす事業として制度上位置づけられています(出典: 国土交通省 関東運輸局「自動車の回送運行の許可事務等の取扱要領」2022年)。
関連記事:車を運ぶトラック運転手への転職完全ガイド|仕事内容・年収・将来性
乗用車の自走回送であれば、普通自動車免許で応募できる求人が中心です。ただし、求人ごとに独自の条件が設けられていることが多いため、免許を持っているだけで十分かどうかは個別に確認が必要です。
求人票でよく見られる条件には、次のようなものがあります。
キャリアカーで車両を運ぶ仕事や、大きな車両そのものを回送する仕事では、普通免許ではなく準中型免許・中型免許・大型免許が求められる場合があります。大型免許・中型免許には、年齢(大型免許は原則21歳以上、中型免許は原則20歳以上)や普通免許等の保有期間などの受験資格があります(出典: 警察庁「第二種免許等の受験資格の見直しについて」2022年)。また、受験資格特例教習を修了すれば、19歳以上で普通免許等の保有期間が通算1年以上あれば、大型免許・中型免許を受験できる特例があります(出典: 警察庁 2022年)。特例教習は、適性に関する教習7時限以上、技能に関する教習29時限以上と定められています(出典: 警察庁 2022年)。
まずは普通免許で始められる乗用車の回送から経験を積み、将来的に中型・大型免許の取得を検討するという順番で考えると、無理なくステップを踏めます。
関連記事:普通免許で乗れるトラックは何トンまで?対象車種と条件を徹底解説
回送ドライバーの働き方には、正社員、アルバイト・パート、業務委託、副業の4つの形があります。どれを選ぶかによって、報酬の決まり方や社会保険、事故が起きたときの責任の考え方が変わるため、自分の目的に合った形を選びましょう。
4つの雇用形態の違いを、確認したいポイントごとに整理すると次のとおりです。
項目 | 正社員 | アルバイト・パート | 業務委託 | 副業 |
契約の形 | 会社と雇用契約を結ぶ | 会社と雇用契約を結ぶ | 会社と業務委託契約を結び、個人事業主として受託する | 本業とは別に、アルバイトまたは業務委託で働く |
報酬の決まり方 | 月給制が中心 | 時給制・日給制が中心 | 1件ごと・距離ごとなどの出来高が中心 | 選んだ契約の形による |
社会保険 | 加入条件を満たせば会社の社会保険に加入 | 勤務時間などの条件を満たせば加入 | 原則として自分で国民健康保険・国民年金に加入 | 本業の保険が基本。副業側は契約の形による |
事故・車両損傷時の確認点 | 会社の保険・規定で対応するのが一般的 | 会社の保険・規定で対応するのが一般的 | 責任の範囲や保険の扱いを契約書で必ず確認 | 契約の形に応じて確認。本業の就業規則も確認 |
向いている人 | 安定した収入と働き方を重視する人 | 働く日数や時間を調整したい人 | 自分のペースで案件を選びたい人 | 本業を続けながら運転の仕事を試したい人 |
業務委託で働く場合は、運転中の事故や車両の損傷が起きたときに、誰がどこまで責任を負うのか、どの保険が適用されるのかを契約前に確認してください。雇用契約と違い、業務委託では個人事業主として仕事を受けるため、契約内容によっては自己負担が生じる可能性があります。
副業として回送の仕事を始める場合は、本業の会社が副業を認めているかを就業規則で確認しておきましょう。また、本業と回送の仕事を合わせた労働時間が長くなりすぎないよう、無理のない範囲で予定を組んでください。
回送ドライバーの収入は、雇用形態と報酬の決まり方によって大きく変わります。回送ドライバーに限った公的な収入統計は確認できなかったため、この記事では具体的な金額ではなく、収入を見極めるための考え方を紹介します。
報酬の決まり方には、主に次の3つがあります。
回送の仕事で特に注意したいのは、移動時間と交通費の扱いです。出来高制の場合、運転している時間だけが報酬の対象になり、帰り道や次の案件への移動時間は報酬に含まれないことがあります。また、交通費を立て替える場合は、精算されるまでの間は自分で負担することになります。求人票の金額だけでなく、移動時間や交通費を含めて、実際にどのくらいの時間でいくら得られるのかを計算してみてください。
実際の収入は、案件の数や距離、勤務日数などによって個人差があり、地域や事業者によっても異なります。気になる求人がある場合は、報酬の計算方法と支払い条件を面接や契約前に確認してください。
関連記事:軽貨物ドライバーの手取りはいくら?雇用・業務委託別の計算手順を一次情報で解説
回送ドライバーは「きつい」と言われることもありますが、その理由の多くは回送ならではの働き方の特徴にあります。大変な点と良い点の両方を知っておくと、自分に合うかどうかを判断しやすくなります。
回送ドライバーの仕事で大変だと感じやすい点は、次のとおりです。
一方で、回送ドライバーならではの良い点もあります。
こうした特徴から、回送ドライバーに向いているのは次のような人です。
回送ドライバーは、普通免許があれば未経験から挑戦できる求人もある仕事です。始めるまでの流れを押さえておけば、迷わずに準備を進められます。
未経験から回送ドライバーを始める一般的な手順は次のとおりです。
求人を選ぶときは、次のポイントを確認しておくと安心です。
回送ドライバーとして運転経験を積んだあと、トラックドライバーやタクシードライバーなど、ほかのドライバー職へ挑戦する道もあります。さまざまな車を安全に運転し、時間どおりに届けてきた経験は、運転を仕事にするうえでの土台になります。
関連記事:トラックドライバーの仕事内容を未経験向けに徹底解説|車種別の働き方・1日の流れ・適性まで
普通免許があれば、未経験から応募できる回送ドライバーの求人もあります。ただし、AT限定不可や免許取得からの年数など、求人ごとに条件が設けられている場合があるため、応募前に求人票で確認してください。
アルバイトや業務委託の形で、副業として回送の仕事をする人もいます。始める前に、本業の会社の就業規則で副業が認められているかを確認し、本業と合わせた労働時間が長くなりすぎないよう注意しましょう。
どちらも車を目的地へ届ける仕事で、求人では同じ意味で使われることもあります。一般に回送は車両を自分で運転して届ける「自走回送」を指すことが多く、陸送はキャリアカーなどで運ぶ「車両運搬」も含む広い意味で使われる傾向があります。
キャリアカーの大きさによっては、普通免許ではなく準中型免許・中型免許・大型免許が求められます。大型免許・中型免許には年齢(大型は原則21歳以上、中型は原則20歳以上)や普通免許等の保有期間などの受験資格があり、受験資格特例教習を修了すれば19歳以上・普通免許等の保有期間通算1年以上で受験できる特例もあります(出典: 警察庁 2022年)。

回送ドライバーとは、車そのものを運転して目的地へ届ける仕事です。最後に、この記事のポイントを振り返ります。
自分に合う働き方がわからない、回送以外のドライバー職とも比べてみたいという方は、GOジョブの専任エージェントに相談してみてください。GOジョブは求職者の方は無料で利用でき、ドライバー職の求人探しや働き方の整理をサポートしています。